5日、角川書店がトランスジェンダーに関する書籍の発売中止を発表しました。
発売中止となったのは、LGBTQ+関連の翻訳書『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』(原題『Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing our Daughters』、アビゲイル・シュライアー著)という書籍です。
なぜ問題?『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』
この本の問題点はトランスジェンダーの若年層への治療をおこなった結果を、その子供の親へインタビューしたものです。その結果、不幸になったという旨の内容になっています。
しかし、この書籍は本人にインタビューしたものではなく、親へのインタビューだったこと。さらにトランスジェンダーはSRSやアニメといったインターネットを通じて伝染すると伝染病のようにとらえたことで、トランスヘイトにあたるのではないかとweb上で批判が相次いで起こりました。
発売予定だった内容紹介では「幼少期に性別違和がなかった少女たちが、思春期に突然“性転換”する奇妙なブーム。学校、インフルエンサー、セラピスト、医療、政府までもが推進し、異論を唱えれば医学・科学界の国際的権威さえキャンセルされ失職。これは日本の近未来?」と記載されていました。
角川書店の謝罪文
角川はwebサイトで以下の謝罪文を掲載しました。
学芸ノンフィクション編集部よりお詫びとお知らせ
来年1月24日の発売を予定しておりました書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の刊行を中止いたします。
刊行の告知直後から、多くの方々より本書の内容および刊行の是非について様々なご意見を賜りました。
本書は、ジェンダーに関する欧米での事象等を通じて国内読者で議論を深めていくきっかけになればと刊行を予定しておりましたが、タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり、誠に申し訳ございません。
皆様よりいただいたご意見のひとつひとつを真摯に受け止め、編集部としてこのテーマについて知見を積み重ねてまいります。この度の件につきまして、重ねてお詫び申し上げます。
2023年12月5日株式会社KADOKAWA学芸ノンフィクション編集部
アメリカでは10万部以上をうりあげ
アメリカでは2020年に刊行後、10万部以上を売り上げたといわれています。そして、保守層や反トランスジェンダーを掲げる人たちの間では、こうした本が自らの政治的信条を正しくする武器や根拠となってさえいるようです。一方で本著は問題視され続けていました。
ここで、大事なのが同著がとりあげる「ROGD(急性性別違和症候群)」という概念です。10代の少女が思春期に起きるとされるROGDを次の記事で見て行きましょう。