トランス女性の悩み「体型をカバーしたい」「女性らしいラインに見せたい」という想いから、オーバーサイズの服を選ぶことが多いかもしれません。
オーバーサイズの服は、気になる部分をふんわりと隠してくれる心強い味方ですよね。特に、肩幅や筋肉質な体型などトランスジェンダー女性が気にしやすい部分をカバーするのに役立つと感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、その一方で「オーバーサイズの服を着ると、かえって全体が大きく見えてしまう」「ただ太っているように見えて女性らしさから遠ざかる気がする」といった悩みを抱えている話を前回までに致しました。
今回は、「着やせして見えるオーバーサイズの着こなし術」についてお届けします。
ここまで主な原因や悩みをお伝えしてきましたが、それらを踏まえた上で女性らしく着やせして見せるための具体的なテクニックを紹介します。
いくつかありますが今回は取り入れやすい3点に絞ってお伝えします。
メリハリを意識する:「3首見せ」と「ウエストマーク」
全身をゆるっとさせるのではなくどこかに“締め”の部分を作ることが重要です。
「3首」を見せる
(ありし日の西原さつき。手首、首を広く見せています。手首と手首は磁石のように惹かれ合うと仕草が綺麗みたいな話も)
「首(デコルテ)」「手首」「足首」は、体の中でも比較的細い部分です。オーバーサイズの服を着る時こそ、これらの部分を意識的に見せることで抜け感が生まれ華奢な印象を与えます。
首(デコルテ):VネックやUネック、ボートネックなどで首元を開けると顔周りがすっきりし縦のラインが強調されます。
手首: 袖をまくって手首を見せるだけで驚くほどすっきりとした印象になります。ブレスレットや腕時計でアクセントをつけるのも効果的です。
足首: パンツならアンクル丈を選んだりロールアップを、スカートなら足首が見える丈感のものを選びましょう。パンプスやサンダルで甲を見せるのも良い方法です。
ウエストマーク
(NAOのコーディネート。オーバーサイズのワンピースをベルトでウェストマーク)
オーバーサイズのトップスやワンピースはベルトでウエストマークするだけでくびれが強調され、一気に女性らしいシルエットになります。細いベルトなら上品に、太いベルトならカジュアルにと印象を変えることもできます。トップスをボトムスに前だけインするだけでも脚長効果とメリハリが生まれます。
シルエットで縦長効果を狙う
全体のシルエットを意識することも大切です。
Iラインシルエット
(つーさんによるIラインシルエットの例)
上下ともにボリュームを抑え縦長のラインを作ることを意識します。オーバーサイズのトップスを選ぶならボトムスはスキニーパンツやタイトスカート、ストレートパンツなど細身のものを選ぶとバランスが取りやすいです。ロングカーディガンやジレを羽織って縦のラインを強調するのも効果的です。
Aラインシルエット
(乙女塾にある衣装例。骨格の診断でも人気です。モデルNAO)
トップスをコンパクトにするかタックインし、ボトムスにフレアスカートやワイドパンツを持ってくることでウエストを細く見せ、裾に向かって広がるAラインを作ります。この場合トップスのオーバーサイズ感は控えめにするのがポイントです。
ドロップショルダーを選ぶ
(NAOの私服コーディネート例。肩幅はコンプレックスなのですが…)
肩の切り替え線が腕の方に落ちているドロップショルダーのデザインは肩幅を曖昧に見せてくれる効果があります。いかり肩が気になる方におすすめです。ただし、身幅が広すぎないデザインを選びましょう。オフショルダーやドロップショルダーは肩を見せることで抵抗がある方も多いのですが、意外にも効果的だったりします。
色の効果を最大限に活用する
色は視覚的な印象を大きく左右します。
収縮色を味方に
(つーさんによるボトムスを収縮色、膨張色に変えたビフォーアフター)
黒、紺、ダークグレー、深緑、ボルドーなどの「収縮色」は体を小さく引き締めて見せる効果があります。全身ダークカラーにする場合は素材感の違いを出したり小物で差し色を入れたりすると重くなりすぎません。
膨張色は部分的に
(NAOの私服コーディネート例)
白、ベージュ、パステルカラーなどの「膨張色」は体を大きく見せやすい色です。オーバーサイズのアイテムで膨張色を取り入れる場合は顔周りを明るく見せるトップスに選び、ボトムスは収縮色にするなど面積を限定するのがおすすめです。
縦のラインを意識した配色
(フリー画像より。オフィスカジュアルにも使いやすい)
インナーとボトムスを同系色でつなげ上に羽織るカーディガンやジャケットを違う色にする「Iライン配色」は縦長効果が高くスタイルアップにつながります。ストライプ柄なども縦長効果が期待できます。
まとめ
オーバーサイズの服は体型をカバーしてくれる便利なアイテムですが、選び方や着こなし方によってはかえって太って見えたり野暮ったく見えたりすることがあります。
特にトランス女性にとっては骨格や筋肉のつき方といった特有の悩みがその着こなしをより難しく感じさせるかもしれません。
しかし、今回ご紹介した
・メリハリを意識する(3首見せ、ウエストマーク)
・縦長のシルエットを意識する
・色(収縮色、配色)を活用する
といったポイントを押さえれば気になる部分をカバーし女性らしくスタイルアップして着こなすことが可能です。
大切なのは隠すことばかりにとらわれず、どうすれば自分がより魅力的に見えるかという視点でファッションを楽しんでいきましょう!