SRSなしでなぜ性別変更が可能に?男性から女性で日本初。

  • 乙女塾運営部
  • photo by

    乙女塾

広島高裁は10日、性別の外観を変える手術(いわゆるSRS)をせずに戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた差し戻し家事審判で、性別の変更を認める決定をしました。

昨年秋に「生殖機能除去手術なし」で戸籍変更を行った事例は、すべてFtMトランスジェンダーに限られたものでした。

現行の性同一性障害特例法の要件では、「変更後の性器部分に似た外観を持つ」(通称:外観要件)を満たす必要があり、そのためMtFトランスジェンダーの場合は、睾丸摘出、性別適合手術(SRS)を行うことでそれを満たしてきました。

しかし、そのためには金銭の負担が大きい(現在だとタイでの手術の場合2-300万円程度から)、全身麻酔で長時間の手術は身体的な負荷が大きい、生殖機能を永久に失わせるのは憲法13条び「意思に反して身体への侵襲を受けない自由」への侵害ではないかとみられてきました。

一方で今回の判決は、外観要件が否定されたわけではありません。SRSはなくとも「申立人の外性器の外観が望む性に近似している」と判別されたことが理由です。

そのため、性自認だけで戸籍変更ができる、女性トイレや温泉に入れるという一部の方の批判や懸念には当たりません。

しかし、特例法の見直しは今秋にも決められることとなりそうです。SRSなしでの性別変更に関しては「変更後の性別として過ごす期間が10年以上」とする案が自民党の1部から出るなど当事者の想いとは違う部分があります。こちらは、18歳で性別移行を進めても大学卒業後には就職活動は男性で行わなくてはなりません。最低でも28歳ぐらいまで移行を待つことになるからです。

これまで、SRSを受けたくても身体的負荷などにより諦めてきた当事者に選択肢が示されたこととなりますが、今後も司法や政治的な判断に引き続き注目です。

乙女塾運営部 の記事

乙女塾運営部 の他の記事はこちらから

RECOMMENDED

乙女塾のメンバーのオススメ。読んでね!

top