トランスジェンダー女性が性別変更をした後に、凍結した精子を用い女性のパートナーとの間に生まれた次女の法的な親子関係が認められるか争われた訴訟で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は21日「認知できる」とし、法的な親子関係を認めました。
この問題は賛否も含む大きな話題となりました。否の意見としては、
・男性として婚姻し女性と子供を作れている時点で男性なのではないか?
というものが多いのですが、「本人はすでに法的関係を認められていた長女、次女ともに」凍結精子を用いたもので、知識不足による誤解になります。
この問題は本人が性別変更後に、長女、次女に関して子供として認知をしてほしいと裁判をおこしました。
長女は凍結精子を使っても、本人が「性別変更前」の子供だったために「性別変更後」におこした裁判で父親として認知されました。しかし、これまでの裁判では次女に関しては認知されてきませんでした。
裁判は子供が原告、そしてトランスジェンダー女性側が被告と言う形で行われ、「血縁上の父親の認知が認められなければ子供の福祉に反する」「親子に関する法律や制度は、血縁上の親子関係を基礎にしている」「子供の福祉や利益に反するのは明らか」と子供目線にたっての判決が述べられました。
しかし、現時点での法律では特例法により、性別変更をする場合には「未成年の子供がいないこと」が条件になっています。
つまり、性別変更手術後に性別変更前の子供含めて認めたことはこの内容と後から矛盾することになります。特例法自体が「生殖機能を欠く状態にあること」という項目が違憲であると判決がでているだけに、この項目も今後見直される可能性が高いと思われます。
トランスジェンダー女性の中には、既婚者や女性と子供を作った経験のあるものも少なくありません。しかし、基本的に性別移行をする際にはホルモン治療により生殖機能は不可逆的に失われます。また、性別適合手術後の大きな悩みの1つとして子供が作れないことがあげられます。
パートナーとの間に子供が欲しい場合には、これまでは養子を迎える、もしくはペットなどと過ごすなどが一般的でした。凍結精子を使った手法で子供と認められたことは大きな進歩です。
乙女塾のメンバーでも凍結精子を使い性別適合手術後に子供を授かったケースがあります。
しかし、こちらは海外のケースで、日本のケースではありませんでした。
新しい手法には賛否が伴うものですが、今後、選択肢の1つとして広まることはトランスジェンダーの将来にとって大きな意義があることではないかと思います。