先日、声の手術を受けたキッチン担当のゆーこですが、同時にのどぼとけ(喉仏)除去の手術も受けました。
今回は情報がほとんど無いのどぼとけ(喉仏)除去について、執刀された京都耳鼻咽喉音聲手術医院の東家完先生からのメッセージをお届けします。
(インタビュアー:ゆーこ、構成編集:NAO)
のどぼとけの男女差
成人男性は喉の前面に出っ張りがあり、これをのどぼとけといいます。正式には喉頭隆起(こうとうりゅうき)といい、甲状軟骨が張り出しているのです。
「成人男性は」と言いましたが、成人男性でも目立たない人もいれば女性でも少し出ている方もいます。それらが気になる人は手術でのどぼとけを切除するケースがあります。
海外では「アダムスアップル(アダムのりんご)」と呼び、男女差の1つとして数えられています。
のどぼとけの手術のお値段は?
ここからは東家先生にいくつか質問をしてみました。
東家先生「喉仏の切除だけのご依頼も承っております。性別に関わらず保険適用とはならず、費用は27万円です。
(戸籍が女性になっている場合、声の手術は保険適用になりますので)保険適用で音声の手術をする場合には、サービスで切除を行なっており、料金は頂いておりません。保険適用と保険非適用手術を同時に行なってはいけない規則があるためです。
ですので、保険証の性別が女性であるならば、音声の手術と喉仏の切除を受けられると保険適用となるので、かなり安くなります。奇妙な話ですが」
のどぼとけの手術、ダウンタイムはどのぐらい?
手術には必ず、ダウンタイムと呼ばれる回復に必要な期間があります。どのぐらいになるのでしょうか?
東家先生「喉仏の切除だけであれば、日帰りで受けることが可能です。もちろん、入院も可能です。発声禁止は必要ありません。皮膚切開はシワに沿って行いますが、目立たないよう、可能な限り上方に行います。
甲状軟骨形成術4型を受けられた後であっても、喉仏の切除は可能です。その場合には、新たに傷をつくるのではなく、前回手術の時に出来た傷に沿うように皮膚切開を行います。
声帯短縮術後の方は要相談です。声帯の位置が通常と変わっているため、CTで確認の上で切除可能か否か判断する必要があります」
デメリットはないの?
デメリットはないのでしょうか?
東家先生「喉仏の骨は、切除しすぎると声帯の緊張がなくなってしまい、声が低くなります。解剖学的に声帯の位置を理解していれば起こりえないのですが、海外で手術を受けられた方で、そのような状態になってしまった方が時々来院されます。幸い、来院された方は皆さん手術で声を高くする事が出来ました。しかし、余りにも声帯の緊張が低下すると、手術でも声を高くする事が難しいと考えられます。
適切に切除が行われれば、デメリットや危険性はありません。
最近、喉仏の切除だけを受けられる方が増えてきています。悩まれている方は多いようですね」
実は生徒さんの中には気にされる方も多く話題になっていたのですが、適切に手術をすれば比較的安全なようですね。こちらでも一度ご紹介させて頂きます。
2005年に熊本大学を卒業。同大学にて音声学の基礎を学び、声帯の動きを制御する神経学分野で博士号を取得。その後、音声学のメッカである米国ウィスコンシン大学に留学し、声帯粘膜の再生に関わる研究に従事。帰国後、同大学助教を経て、2017年に医療法人顕夢会ひろしば耳鼻咽喉科(現・京都耳鼻咽喉音聲手術医院)に入職。音声外科部門長として、国内外問わず、声の悩みにとことん付き合う医療を展開中。