ひと昔前、トランスジェンダー女性がSRS(性別適合手術)を受ける際には、ガモン病院、スポーンクリニックが有名でした。
ところが、最近はさらにその昔から有名だったヤンヒー病院、そこから独立したミラダ病院、さらに価格の安いクリニックの出現など複数の選択肢が得られるようになっています。
今回は、大病院ながら意外に情報の少ないヤンヒー病院と、そのヤンヒー病院から独立したミラダ病院を選ぶメリットについて、アクアビューティでアテンド業をされている社長のりえさんにお聞きしました。
(取材日:2024/12/16、22 インタビュアー:NAO)
(りえさんが左、中央がヤンヒー病院No.2のナイパ先生)
(乙女塾編集部、以下略)–乙女塾のスタッフがヤンヒーを訪れた時にこんな大きな病院とは思っていなかったので、とても驚いたといっていました。大きさだけでなくハイテクだったと。ヤンヒー病院でのメリットは何でしょうか?
(りえ、以下略)おっしゃる通りで、なんといっても総合病院なので、何かトラブルが発生した場合の対処がとても素早いです。大病院ですから、医師や看護師も24時間交代で多く勤務しています。深夜に傷がとても痛むなどあった場合に安心です。
アクアビューティのアテンドでは執刀医が、ミラダ病院のグリーチャーツ先生を師としているウォラポン先生です。
(中央がウォラポン先生)
–ウォラポン先生は、先の記事にも取り上げましたように傷跡が見えないSRSで有名になりました。
(前回の記事はこちらから) https://otomejuku.jp/media/18271/
はい。ウォラポン先生は美容整形に特化している先生ですから、指先がとても器用ですので見た目、感度は申し分ないかと思います。
–見た目・感度については多く質問を頂くのですが、他人と比較もできませんし、何が良いかも人によって違うところですよね?
はい、「感度」については個人差がもっとも大きな部分です。
見た目についても個人差が大きいです。先生はとても器用ですので、一般女性と大差ない仕上がりになるかと思います。ですが、くどいようですが個人差があることなので、大きな夢や希望を持ちすぎてはいけません。
というのは、一般女性の女性器というのが想像以上に個人差があり基本的に綺麗(美しい)場所ではありません。
–女性器をまじまじと見る機会なんてそうはありません。頼りになる情報を探すとどうしてもアダルトなものが多くなりますが、それってプロですから美しいものになりますよね。
はい。ネット上にあるような綺麗な形をした外性器になるとは思わないでください。
女性が100人いれば100通りの形があります。本来は、グロテスクな部位です。そして、左右非対称などは普通にあることです。
腫れが引いた段階でどうなっているのかという運要素がありますから、ネットで見られるようなモデルさんのような外性器になるという夢は捨ててください。
–ここまで聞いたら、最後に「深さ」も聞いてよいでしょうか?
膣の深さは、反転法の場合は陰嚢の皮膚の余裕が全てです。
また外性器の範囲(主に小陰唇とその内側の位置)は、陰茎の皮膚の量で変ってきます。女性ホルモン療法を長年行っているとか、睾丸を摘出しているとかあれば、それらの皮膚が萎縮している可能性が高いですので、満足したサイズ感や深さが得られない可能性は往々にしてあります。
また、PPV方式、S字結腸法では膣の深さをかなり取ることができます。
–ありがとうございます。ヤンヒー病院で推している術式はございますか?
(ウォラポン先生からPPV法の説明を受ける)
PPVの術式とダウンタイムです。
2024年2月末にヤンヒー病院に行き、ウォラポン先生やヤンヒー病院の実質的トップの先生と会議をし、PPVについて一般には公開されない極秘映像・写真を出していただきながら説明を受けてきました。
ーーPPV法は高いイメージがありましたが、メリットがあれば教えてください。
腹膜は粘膜ですので、膣内が潤っています。S字結腸法のように、しばらくの間は便臭がするということがありません。また、常に腸液(膣液)が大量に分泌されまくってナプキンを1日に何度も取り替える必要があるとかは、基本的にありません。
腸を切らないので、反転法とS字結腸法の良いところ取りなのがヤンヒー病院のPPVです。ただし外性器については、反転法と同じ理由で個人差が大きくなります。この部分は、病院も術式も問わずですね。
–ヤンヒー病院のPPV方式は他と何が違うのでしょうか?
PPV法ではこれまで他の病院では腹膜を切り離さずに膣の位置までもってきましたが、腹膜を完全に切り離してから膣として使用するというのがヤンヒー病院の術式です。
腹膜と膣で、別の血管と神経になりますので、完全に分離している状態です。ですから、神経が集中していて痛みをとても強く感じてしまう腹膜と繋がっていませんので、膣の痛みが腹膜のような痛みとなることはありません。
–ガモン病院でPPV法を受けた友達から従来のPPV法は腹膜と切り離さないと聞いてびっくりしたんですが、逆に切り離しても神経や血管といった部分は大丈夫なんでしょうか?FTMの施術、胸オペでは乳首を取って付け直す場合は感度などはダメージがあると言われているそうです。
(ガモン先生(中央)と)
はい。ガモン方式は切り離さないタイプで、ヤンヒー方式は切り離すタイプです。
切り離しても、顕微鏡下で血管や神経をつなげることもします。これは従来のSRSの方式でも行われています。また、血管や神経は新しく作られていきます。もっとも、膣内には神経があまり通っていないほうが良いです。しっかり神経があるということは、ダイレーションで痛みが強いということです。
また、腹膜には快楽系統の神経がありませんから、必要最低限の再生で済めばそれだけ予後が楽かと思います。もちろん、全くの無感覚では傷ができたり化膿したりした場合に危険ですので、最低限の神経は必要でしょう。
さらに、シス女性の膣壁には感覚がほぼありません。もしもきちんと神経が通っていたら、お産のときに激痛でショック死してしまうでしょう。S字結腸にも神経がほとんどありませんので、膣内の感覚はシス女性と近いものになるのだと思います。
反転法(陰嚢皮膚移植反転法)の場合は、陰嚢に快楽系統の神経がありますので、膣内での気持ち良さがある場合もあります。同時に痛みの神経もありますから、ダイレーションのときの痛みは、S字よりも反転の方が高いのかもしれません。
(このあたりの感覚の違いは個人差が大きいです。また、腫れや傷が安定する術後1年や2年経ったとき、本当の意味での痛みや快楽を知ることになるのだと思います)
–逆にPPV法のデメリットはあるのでしょうか?噂では、外国人のように身体が大きい人の方が向いているとかをきいたことがあります。
腹膜は内臓をお腹に留めておくための大切な臓器ですから、収縮する力がとても強いのです。なので、ダイレーションについては反転法と同じように、S字結腸法よりも多くの回数や時間が必要となります。
–滞在時間はいかがでしょうか?
(バンコクの夕焼け)
全てのSRSの滞在期間は、21日間です。PPVが少し長くなるということは、今のところありません。これも、ヤンヒー式PPVの良いところかと思います。
–逆にヤンヒー病院のデメリットはあるのでしょうか?
価格です。残念ながらガモン病院やミラダ病院に比べて、どれも高めになっています。
–ありがとうございました。