乙女塾にお越しになる方の年齢層は2つの山があります。1つは20代前半の層、こちらは学生であり就職時に女性として働くことを目標とするグループです。もう1つの山が45歳から上の層です。子育てを一区切りした、人生を長く過ごし、(人生の終わりを考えた時に)やり残したことや我慢してきたことを行動に移そうと考えて性別移行を行うグループです。
MtFトランスジェンダーを2つに分類する考え方
これらと同じような結果がドミトリー・ザヴリンらの論文によって報告されています。男性から女性への (MtF) トランスジェンダー集団には2つのサブグループがあると分析しています。
それによると、2019年のドイツの外科クリニックを訪れた性別違和を感じSRSを終えた40人を集めました。そして年齢を17歳以下と18歳以上に分割してそれぞれのグループを比較したというのです。
グループは、自己申告で性別違和を感じたのが4歳から63歳、SRSを終えたのが19歳から66歳でした。
性別違和を感じた年齢の17歳以下群と18歳以上群の違い
性別違和を感じたのは17歳以下のグループで平均で12.3歳。18歳以下のグループでは平均34.8歳でした。
それらによると、17歳以下で性別違和を覚えたMtF患者は、SRSの年齢が低く平均32.7歳でした。しかし18歳以上で性別違和を覚えたグループは平均43.8歳と遅かったそうです。これは、当然違和を感じた時期が遅ければSRSまでたどり着く年齢が上になるということです。ある意味、ここまでは当たり前のように思えます。
興味深いのはこの先です。
18歳以上で性別違和を覚えたグループは抑うつ症状を示す傾向がありました。しかし、それらはSRS後に消失しました。
SRS手術後、17歳以下で性別違和を覚えたグループは主に男性 (52.6%) に惹かれましたが。これに対し18歳以上で性別違和を覚えたグループは、パートナーとして女性、または男女両方 (85.7%) を好むという結果になりました。また、17歳以下のグループの方が、性的に活発だったと言います。
一方、身長、体重、BMIなどはグループにおける有意差が見られませんでした。これは若い方が第二次性徴を抑えられると思われるので、少し意外かもしれません。
論文では性的関心に合わせて2つのサブグループに分けて治療を提供することを提案して締められています。
リンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2050116118301156