自分の女声の長所、弱点を知ろう!「母音のフォルマント」を調べる

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平易に自分の声が女声のアプローチができているのかを調べる方法を教えていただいたので紹介します。

母音のフォルマントがカギ

女声というと「声の高さ」ばかりに視点がいき裏声になってしまっている方は少なくありません。しかし、大事なのはフォルマントであることは何度か紹介してきました。

そこで、「あ」「い」「う」「え」「お」の母音のフォルマントが女性のそれにあるかどうかを調べるのが今回の記事の目的です。

表はあ、い、う、え、おの成人女性、成人男性、子供のフォルマントについて調べたものです。

http://www.gavo.t.u-tokyo.ac.jp/~kashiwagi/enshu_lsp/wavesurfer/より

*F1・・・第一フォルマント、F2・・・第二フォルマント

あ・・・第一フォルマント(1.1kHz)、第二フォルマント(1.5kHz)

い・・・第一フォルマント(0.4kHz)、第二フォルマント(2.8kHz)

う・・・第一フォルマント(0.4kHz)、第二フォルマント(1.4kHz)

え・・・第一フォルマント(0.7kHz)、第二フォルマント(2.4kHz)

お・・・第一フォルマント(0.7kHz)、第二フォルマント(1kHz)

つまり、「あーーー」と発音した時に人間の声は第一フォルマントがだいたい0.8~1.2kHz(800~1200Hz)、第二フォルマントが0.8~2kHz(800~2000Hz)の間におさまっていますが、女声と判定されるにはだいたい第一フォルマント(1.1kHz)、第二フォルマント(1.5kHz)付近にあることが大事になります。

自分のフォルマントを調べてみよう

1.使うソフトをダウンロードしよう

使用するのは「wavesurfer」です。まず、リンク先からダウンロードしてインストールします。

2.録音環境を整えよう

File > Preferences をクリックし、Sound I/O のタブを選択してください。

New sound default rate: 16000 に設定。
New sound default channels: 1 に設定。
Applyを押す。

3.録音をしてみよう

右側の赤い●を押すと録音ができます。■を押すと録音を終えることができます。

まずは、「あー」「いー」「うー」「えー」「おー」と発音をしてみましょう。

4.フォルマントを表示させよう

波形の確認をするには右クリックをして「Create Pane > Waveform」をクリックすると表示することができます。

同じくフォルマントを確認するには「Create Pane > Spectrogram」をクリックすると表示させてください。

5.フォルマントを確認してみよう

調べたい部分を左クリックで選択します。下記画像だとクリーム色になっているエリアが選択できている状態です。

スペクトログラム(複数の色がついた線が表示されたエリア)の中で「右クリック > Statistics」を選択します。

フォルマントの平均、標準偏差が表示されます。

特に大事なのが緑の枠が囲った部分です。

Column 0 mean: 937.109171 sd: 226.759242
Column 1 mean: 1577.075996 sd: 266.392257
となっていて、Column 0が「第一フォルマント」、Column 1が「第二フォルマント」になります。

上記の表に当てはめると

>女声と判定されるには第一フォルマント(1.1kHz)、第二フォルマント(1.5kHz)にあることが大事になります。

なので、第一フォルマント937Hz、第二フォルマント1577Hzなのでこの録音者の「あ」は女声と判定されるには第一フォルマントを150Hzあげたほうが良い、第二フォルマントは適切だろう、となります。

これが面白いのが女声ができているという人でも特定の母音、例えば「お」の発音が苦手だったり、女声ができていないと思っている人も「あ」の発音ならできていたりばらつきがあることです。

自分の弱点の母音がわかれば抑揚や話し方、練習などで補うことができます。例えば「え」が苦手ならば「えー」と語尾を伸ばすことを工夫するとかです。

全体の声の周波数

最後に全体の声の高さについて記載しておきます。

「男性両声類の女声ら し さ に関わる 特徴量の分析」(長谷川,2017)という論文(http://www.kthrlab.jp/members/hasegawa/soturon.pdf)によると、

・女子大学生 25 名が日本語文を 読んだと き の平均基本周波数は 231Hz、 その範囲が 201∼261Hz という結果

・既存の MtF に関する研究 では、「 80%以上女性と 判定さ れた MtF の平均基本周波数は 193Hz であった」

・両声類について平均基本周波数が 200Hz∼240Hz 付近では高評価低評価ともにあったが、高い評価を得た者はこの付近に集まる傾向があった

・300Hzを超えると評価が低い(女性と判別されない)傾向にあった

とのことです。フォルマントと合わせて声の高さを意識される方は多いと思います。合わせてチェックしてみてください。

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