トランスジェンダー女性や女装する人にメイクをする場合に、上級者ほど気にされるのが「骨格」です。
第二次性徴で成長した「骨格」は変わることがないからです。
ただ、実際にメイクレッスンの現場やSNSではそうした骨格の話まで行きつくことは多くありません。自分でいうのもなんですがきわめてオタクです（笑）。ですが、その知識が役に立つか、バズるかというと、マニアックすぎてあまり受けないんですね…。
なのでマニアックな話は自己満足として数字を度外視してたまーにXなどで投稿していますが、「骨格や男女差のツイートが良い」と嬉しいことに褒めてくれる同好の士がたまに来ます。
というわけで今日は顔の骨格入門です。
メイクをするときに私が見ているのは、主にこの４か所です。
眉骨の張りだしとおでこの角度
眉骨、アイホールボーンは男性の方が張り出しています。女性の場合、その張り出しがなくまたおでこが丸く、生え際当たりの角度も違います。
通常、女性のメイクでは眉毛周辺を際立たせ、海外ではとりわけハイライトでより強調します。つまりは、眉骨やアイホールボーンを際立たせることになります。ある程度眉骨が出ている方がキレイ系になるからで、外国人風になりたいと眉骨を突出する手術もあるほどです。
多くのトランスジェンダーや女装する方は、前髪を作ることで目立たせないという対策が一般的です。高価になりますが、FFSで骨を削る、おでこを出す選択肢もあります。
鼻
トランスジェンダー女性にとって鼻はメイク上級者になればなるほどその難しさに悩む場所です。乱暴に言えば、鼻は小さいパーツの集合体で、且つ、綺麗になることが女性的になることとは別だからです。
鼻は高い方が美しく綺麗になりますが、一方で男性的と捉える人も一定数います。とりわけ、鼻根部が高い場合には、鼻と目の間に影がでますが、その陰が険しさにつながると敬遠する人がいます。メイクで良く行われるノーズシャドウがトランスジェンダー女性に嫌われることが多いのもそれが理由です。
それでも、年齢を重ねると男性を中心に鼻の横幅が増えるという意見があります。鼻の横幅がある場合には、鼻の印象が強く男性的になるためノーズシャドウが必要です。ところが、鼻の横幅を減らすと、顔が面長な印象になります。それはそれで男性的と捉える人がいます。
最後に、鼻先が下向きな方が美しいとされています。ところがこれも同じく、顔に縦の矢印が入るため顔が面長な印象になります。
つまり、鼻は美人をとるのか、女性的をとるのか、面長な印象を防ぐのか、好みによって対策が全く変わってくることになります。
輪郭と顎
輪郭は卵型が最も理想的な形とされています。そして、エラが少なく顎が尖った形が好まれますが、そのためにシェーディングをしてしまうと今度は面長に感じる、という意見が出る場合があります。エラを削った場合にも同様です。
顎はV字に尖った形、少しだけ前に出てEラインが整う形が理想的ですが、これはヒアルロン酸で作る場合には顔が長く、前に出たことで（美形にはなったが）男らしさも出たという意見が出ることがあります。ただ、めちゃくちゃ垢ぬけると思っています。
一方で、顎が下がっている場合、口ごぼとか顎なしとか揶揄されてしまうことがありますが、乱暴に説明すると女性らしく見える場合にはむしろ得する場合があります。それは顎の形状が斜めに下がっていることで下顔面が実際の寸法よりも短く見えるため、男性的と感じる顔の長さを短く錯覚させて見せてくれるからです。
頬骨
日本では、頬骨は女性も含めて削るかセットバックするかで減らすことで好まれる場合があります。
頬骨は突出していてその下の頬の肉がない場合にはその影、頬の凹みを気にされる方がいます。その場合には明るいコンシーラーをハイライト替わりにして、頬をふっくらさせると良い感想を得られることがあります。
頬骨は突出している方が男性的と感じる人がいますが、外側の頬骨が突出している場合には女性的という意見もあり、私自身の経験としてFFSの提案として頬骨の外側を増やす提案を受けたことがあります。ただ、日本では好まれない方向性かもしれないと感じています。
まとめ
メイクレッスンで最初の数回で行っているのは標準的な方法です。しかし、メイクは自由なもので、最終的にはそのルールは破ってもOKです。今回のように美しさをとるのか、女性的であるか、顔が長いか短いかは、正解があるわけでなく「個人の好き嫌い」の話だからです。
メイクレッスンでは好き嫌いを一緒に考えていくことを大事にしています。骨の話をしたくなったら（笑）お待ちしています。
