先日、MAI(ちゃんまい先生)が執筆した「新宿の下着売り場はトランスジェンダー女性が利用できる?できない?調査してみた」がトランスヘイターと思われる者を巻き込み1000万インプレッションを超え今も拡大中です。その中で、様々なご意見を頂きました。それらの内容は真摯に受け止めてフィードバックしてまいります。
- 何故、X(旧Twitter)にて一部へリプライをしたのか
- 課題の背景
- 今回のSNSでいただいたご意見について
- 1.トランスジェンダー女性が男性であり「女性スペースに男性が侵入することの不安」「試着や下着専門店が大切な空間」への侵入をやめて欲しいこと
- 2.トランスジェンダーの女性は男性骨格でそのようなものに合う女性下着はない。自分たちで作るか、専門店を利用してほしい
- 3.通販で買えばいいではないか?ユニクロや無印ではだめなのか?
- 4.女性側も我慢をしてサイズ選びをしている
- 5.当事者だが、利用できている、わきまえて通販をしているので波風を立てないでほしい
- 6.トランスジェンダー女性と犯罪を犯すために女装する男性、おじさんと区別がつかない。さらには女装する男性、とトランスジェンダー女性を混同している
- 7.気持ちが悪いという生理的嫌悪
- 編集長して
- メーカー様へのお願い
- 最後に
何故、X(旧Twitter)にて一部へリプライをしたのか
乙女塾ではこれまで政治的なメッセージやトランスジェンダーの権利主張に関して述べることは、10年間を通してほぼありませんでした。ただ、中傷や傷つくような発言は日常的に送られております。その上でトランスジェンダー当事者からは「メッセージを出してほしい」「私たちを守ってくれないのか」といった声も頂いておりました。
今回はSNS上で初めて、乙女塾名義でコメントへの返信を行いました。その理由は、乙女塾のメンバー個々が名指しで批判を受けるまで飛び火しており、さらには生徒さまが誤解をされてネット上で攻撃を受けてしまう状況にならぬように守るためです。
リプライによる批判コメントへの返信をすることで、「メッセージ性の強い団体」だとご面倒に感じてしまわれたり、すでに乙女塾へ関わってくださっている方や一部の当事者からは「波風を立てないでほしい」といった失望もあるかと思います。そういったお声に関しましては大変ご迷惑をおかけしてしまいました。改めて謝罪いたします。
誠に申し訳ございませんでした。
(そしてこのような状況の中ですが直近のご予約数は伸びており、皆さまから励ましの想いを頂けているようで大変恐縮ですが感謝しかございません。本当にありがとうございます)
課題の背景
今回の記事に関してちゃんまい先生(育乳担当:MAI)が「なぜ執筆するに至ったか」また私が編集長として「なぜ依頼をしたか」を下記に記載いたします。
ちゃんまい先生はシスジェンダーの女性です。
乙女塾メンバーはMtF当事者が中心で、多くは戸籍を変更するなどの移行度が高いメンバーでその経験を伝えています。しかし、それ以外にもシスジェンダーの女性がおります。つまり今回執筆をした、MAI(ちゃんまい先生)はシスジェンダーの女性です。
そのため、トランスジェンダー女性が下着売り場へ押しかけ話を伺ったわけではありません。彼女の行為を「トランス女性がお店へ行った時点で加害行為、迷惑な行為」と述べられるご意見に関してはそもそもが誤解のため、この場で否定をさせていただきます。
育乳マッサージコースでのトランスジェンダー女性の悩み
MAIが担当する育乳マッサージコースをおこなう上でぶつかった壁が、記事にも書かせていただいた通り「そもそも下着を正しく選べていない」「自身のサイズが分からない」「そのため下着を買うことができない」という3つの現状です。多くが通販等でサイズの合わない下着を着用している、そもそも下着を持っていないことから、胸の形が悪く、姿勢を悪くしてしまい発育に良くない状態でした。
乙女塾でおこなわれている対策
乙女塾でのこれまでの対策としましては、公式サイトにてトランスジェンダー女性向けの下着サイトやメーカー様をご紹介する記事制作や、メーカー様への協業のご提案などでした。しかし、残念ながら現在までにメーカーさまとのお取組みはより実現できておりません。
個人事業の方とのやりとりとしては、MAIが下着通販サイトのフリージアさまとタッグを組み、サイズ測定や、下着販売をおこないました。こちらはMAIの自サロン内で行い、マンツーマン対応としてプライバシーに配慮しつつとりおこなわれております。次回の開催につきましては現在、満席をいただいております。
今後は乙女塾としても一緒に取り組みを進めつつ、よりトランスジェンダー女性へ向けた下着選びが、今よりも改善されるよう大きなものへと発展させていきたい所存です。ただ、現状ではマンツーマンでの対応数には限りがあります。そのため、市場調査をするに至りました。
調査をすることで、トランスジェンダー女性の下着売り場の利用を推進させるつもりはなく、きちんと現状把握をするというフィールドワークの一環でございました。また、仮に店舗様側がOKを出されても既存の下着そのものの構造がトランスジェンダー女性には不向きな場合もございます。そういった意味で市場にある商品をを正しく確認する意味合いもありました。我々としても店舗様への最大限の配慮として調査はシスジェンダーの女性が行いました。
さらなる調査結果の記事につきましては、基本的に一般への開示は行いません。こちらは受け入れ不可・可どちらにせよ心象を悪くする方がいらっしゃると判断し、店舗様へのの配慮という意図になります。
今回のSNSでいただいたご意見について
今回、SNSでいただいたご意見についてはトランスジェンダー女性が下着売り場を利用することに対して著しく否定的な内容が中心でした。大きく分けると下記の7つの社会課題があると考えます。
・トランスジェンダー女性は男性であり「女性スペースに男性が侵入することの不安」「試着や下着専門店が大切な空間」のため侵入をやめてほしい
・トランスジェンダーの女性は男性骨格なのでそもそも合う女性下着はない。自作をするか、専門店を利用してほしい
・通販で買えばいいではないか?例えばユニクロや無印良品はどうなのか?
・女性側も我慢をしてサイズ選びをしている
・自分は当事者だが、下着店を利用できている。または立場をわきまえて通販をしているので波風を立てないでほしい
・トランスジェンダー女性や、犯罪を犯すために女装する男性、おじさんとの区別がつかない。さらには女装する男性、とトランスジェンダー女性を混同している
・気持ち悪いという生理的嫌悪
ではないかと思います。
トランスジェンダー女性の下着の実情について
上述のようにトランスジェンダー女性は基本的に通販を中心に買い物を行っており、また通販すらも不安で購入できないという方が非常に多いです。家族に知られてしまうのではないか、男性名義では通販を利用できないといった声です。
トランスジェンダー女性の性別移行の進行度は
・初めは男性として生活をする
・医療機関で診断を重ねて診断書を取得する
・ホルモン治療により女性らしい身体を獲得する(同時に生殖機能を失います)
・女性として生活を開始する
・必要に応じて外科的手術を行う(豊胸やSRS性別適合手術など)
・SRS手術後、戸籍を変更する
人により多少の順番は変わりますが、おおよそこのような流れになります。
また、どのタイミングで女性スペースを使って良いかなどについては乙女塾としては指針はお伝えしておりません。私たちは医療機関でもLGBTQ+活動団体でもなく、スキルを提供し、交流する場であるからです。
ただし、一般的な解釈としては公衆浴場などはSRS手術を受け戸籍性を変更後に、生殖機能が無く容姿や胸の問題から男性スペースの利用が難しい場合にはジェンダーフリースペースと併用するという形が多いと認識しております。
以上の認識を元に今回頂いた意見についての見解を述べていきます。
1.トランスジェンダー女性が男性であり「女性スペースに男性が侵入することの不安」「試着や下着専門店が大切な空間」への侵入をやめて欲しいこと
基本的に乙女塾の姿勢としては調査結果に記載いたしました通り「シスジェンダーの女性ファースト」であり、現実問題試着室利用はかなり難しいということは前提に明分化いたしました。それらと同じく「女装する男性の試着は難しい」と明確に申し上げております。
この内容を我々がお伝えすることは女装・トランスジェンダー女性当事者の方から見れば、悲しみを感じる方もいらっしゃったと思います。ただ、執筆者が女性であり女性としての立場からきちんと書かせて頂くことで私たちなりの配慮のつもりで申し上げております。ご理解頂けますと幸いです。
繰り返しになりますが「試着室利用にこだわる」ために書いた記事ではございません。そのためにトランスジェンダー女性が見れば傷つくようなフレーズもあえてそのまま残しての投稿をしております。
トランジェンダー女性のトラブル事案だけを記載したわけではない。
我々の経験則ですがトランスジェンダー女性の方は性格的に穏やかで大人しい方が多く、そもそも心理的に下着売り場に近づくにはとても勇気が必要です。トラブルとなった事例については、トランスジェンダー女性以外にも「シス男性」「男女カップル」「女装さん」といった生まれた時に男性だった方々とのトラブル事例を記載させていただきました。また女性同士でもトラブルになったケースも、記事内に記載はしておりませんがヒアリングしています。
トランスジェンダー女性だからトラブルになったわけではなく、そもそも下着売り場自体がセンシティブな場所のため、トラブルが起きやすいと伺いました。そのため私たちがその場所を利用する際には、一旦考える必要がある、という注意の意味を含めて記載した次第です。
トランスジェンダー女性の多くはお店を利用できない。
私たちの意見は、当事者の悩みや過去のメーカー様への働きかけの中で得られた経験と理論に基づいたものです。
トランスジェンダー女性で実際に可視化されている方はごく一部です。可視化できない多くは男性として生活をしております。その時点では、当然女性スペースへ立ち入ることはできません。
そのためトランスジェンダー女性にとって女性の姿での買い物や、公共交通機関を使う外出行為はとても心理的なハードルが高いものです。その中でも下着専門店の利用は現実的にはほぼ不可能な状態です。しかし、生活をおこなう上で下着類は何かしら身につけなければなりません。そのため実際に買い物ができるのか、という視点から生来女性であるメンバー(記事投稿者であるMAI)が調査をしたというのが今回の経緯となります。
トランスジェンダー女性は男性であるという批判について
トランスジェンダーはホルモン治療、美容整形(FFSという顔面女性化手術)や豊胸などの身体の手術、SRS(性別適合手術)を経て女性としての生活を獲得する話をいたしました。
頂いたご意見の中には、戸籍が女性になっているなど進行度が高ければOKという内容もありましたが、戸籍変更が済んでいる方をも拒絶し「それは男性である」と断定しているケースが多々ありました。戸籍上女性になっている方々に関してのそういった発言は単なる人権侵害です。
2.トランスジェンダーの女性は男性骨格でそのようなものに合う女性下着はない。自分たちで作るか、専門店を利用してほしい
多くの方が、トランスジェンダー女性のアンダーが100cmほどであり、胸がない力強い男性を想像しているようです。
実情として、トランスジェンダー女性はホルモン治療で胸が大きくなります。また豊胸手術で豊かな胸を得る方たちや、コルセットや肋骨抜き(外科的手術)でアンダーバストを縮めるものもいます。トランスジェンダー女性の胸のサイズは女性以上にバラバラで60cmから100cm超えまで幅広く分布していると経験則から考えてます。
男性用下着専門店
メンズブラなどは一部で通販にて存在しておりますが、こちらは胸がない男性用です。また、専門の店舗はないようです。上述の通り胸がある中での悩みが主ですので、こちらは使えません。
トランスジェンダー女性用の専門店があるのではないか?●●という街にあるらしいよ
「らしい」という意見をいくつかいただきましたが、私たちが調べる限り存在しません。上述の通り、私たちはこれまで調査してメーカーにも提案を行うなどこの問題について真摯に取り組んでまいりました。よって市場調査はおこなっており、当事者間のネットワークもございます。その中でもやはり無いので困っているのです。ありもしないものを「あるらしい」という立場で批判されるのはもってのほかです。根拠のない批判をする前に、正しく信頼に足るソースを貼ってくださるようにお願いしたいです。
一方で、下着選びのアドバイスやオーダーメイド店のススメなどをご教示してくださった方には改めてお礼を申し上げます。ありがとうございます。そのような選択肢が増えることは私たちにとっても大変ありがたく感じます。
ぽっちゃりさん用のブラジャーはどうなのか?
アンダーが大きいサイズの下着として、ぽっちゃりさん向けの下着が近いものとなりますが、そちらは逆にEカップからの展開など大きな胸がないとサイズが合いません。
現状通販でも最もサイズが少ないのは、アンダーが大きいがカップがC程度というものです。
トランスジェンダー女性用の下着専門店
店舗は現状では存在していませんが、通販でスタートアップの状態でいくつかございます。こちらは私たちがこれまで記事に度々とりあげております、NISSEN、ユニラーレ、オパールなどです。これらは、現在は事業が始まったばかりの段階で、サイズ展開が多くなく、やはりトランスジェンダー女性のすべてに合うわけではありません。しかし一部はこうした選択肢によって救われれているのは間違いないでしょう。取り組んでいる皆様には感謝の限りですし、私たちもでも何かサポートができるよう努めてまいります。
総じて、ご理解いただきたいのは、トランスジェンダー女性の多くは「身体が男性骨格であり胸がない」というわけではないことです。
3.通販で買えばいいではないか?ユニクロや無印ではだめなのか?
通販をすればいいではないか?と言うご意見も多く頂きました。しかし、自分のサイズが分からない状態でのネット購入はとてもハードルが高いです。そして、多くの通販サイトでは下着は返品ができないものが多いです。
また返品可能な大手アパレルも非公開で「返品率」による出入り禁止が設定されています。実際に「例えば、MとLを買ってサイズがあったほうを返品する」と言ったことで(通販で自分のサイズを探りながら下着を購入した結果)返品率が高いとして利用禁止なったケースもあります。トランスジェンダーならではの悩みをその際に話し合いましたが、心情として理解はいただけたもののルールとして出入り利用禁止は解かれませんでした。
このように通販で買えというご意見は正しい回答のように見えて、現実にはトランスジェンダーにとって適切な通販の体制はとられておりません。
多くの方は身体に合わないものを捨てているか、もしくは友人に譲ったりしています。通販での失敗は多くの方が経験しており、金銭的損失につながっています。
トランスジェンダー女性は自分の下着や洋服のサイズがわからない
そもそもトランスジェンダー女性の多くは下着を選んで買うことができておりません。もちろん、自分で測定するのですが、(その方法がいい加減だったりして)自分のサイズがいくつなのかを適切にわかっているわけでは無いと感じています。合わない下着をつけている事例を多く確認しております。そのため、私たちの育乳コースではバストの測定も合わせておこなっております。サイズが適切で無い下着では育乳は進まないためです。
同じような理由で、洋服ですら合わないサイズを着ている方を多く拝見してきました。
情報提供いただいた方へ
また、今回頂いたご意見として数少ない通販サイトを改めて紹介いただいた事例もございました。これまでも記事化を進めておりましたが、いずれまとめて情報をご提供できるよう改めて記事投稿の体制を整えてまいります。情報をご提供頂いた方々には感謝を申し上げます。ありがとうございました。
4.女性側も我慢をしてサイズ選びをしている
我慢をしてサイズを選ぶことを相手に強要するのは間違いであると断定いたします。それは思考停止であり社会課題の解決には結び付きません。
私たちは、もちろん女性への配慮は行いつつも、トランスジェンダー女性がよりよい生活を送るために課題をあぶりだし、それらの解決を行うことは1つの使命としております。
5.当事者だが、利用できている、わきまえて通販をしているので波風を立てないでほしい
このご意見は当事者や女装さんから多く頂きました。女性に配慮するので生活上で苦労していない「埋没」の(つまり女性として生きられている)方に今一度考えて欲しいことがあります。ご自身は下着売り場が使えているから関係無いというスタンスでは無くて、トランスヘイターの多くはあなた方にも「ルッキズムでばれないように店員を欺いている男性」と認識して攻撃の矛先が向いているという事実です。
女性として暮らすことができている場合には、こうしたトランスジェンダーの問題に関心がないのか、あるいは移行中の方や、見た目が女性らしくパスができていない方を格下に見る傾向もあるように感じます。ただ、ご自身でもその生活スタイルを獲得するのには苦労をされたはずです。あなたは、たまたま容姿や声に恵まれただけかもしれません。そうではない人のことを考えろ、理解しろとはいいませんが、同じような立場の方をネット上で糾弾する必要はないのではないでしょうか。
実際に乙女塾メンバーの多くは、女性への移行が進んだメンバーが大半です。本人たちに生活上の苦労は少なくなっています。しかし、かつての自分と同じ道を辿る方の苦労を忘れないように、手を差し伸べる姿勢を常に心に置いております。
利用をわきまえるべきである
「(自身のあらゆる行動を)わきまえる」「控え目になる」こちらも当事者から挙がる意見です。つまり、トラブルになりそうなことをすべからく避けるということです。日本人的には良い解決方法なのかもしれませんが、根本的に何一つ問題を解決せず先送りにしているだけです。トランスジェンダー女性も女性の一構成員として捉えられる世の中にするためには、我々が何をするべきなのか?どうしたらいいか?と考えております。
こうしたトランスジェンダー女性の活動はひとえに「活動家」と呼ばれています。しかし当事者からの批判も多く、今や若い方の活動家はほとんどいなくなってしまいました。なぜなら、全体のために動いても活動家本人にはあまりメリットが無いからです。
我々乙女塾もそのメンバーも、トランスジェンダーに関する政治的な活動はしておりませんが、そういった活動をされる方々にはリスペクトがあります。
私たちは権利を訴えるアクションはしておりません。しかし実際は、トランスジェンダー女性の方々が生活に苦労をされてる点を検討したり、社会課題の明確化や、解決策を考えています。そこでまず実店舗の実態を伺った、というところが現状のステップの1つです。
中には否定的な意見を真に受けとめすぎたあまり、戸籍が女性になっているにもかかわらず「自分は女性に見えない」「女性ではない」と自己肯定感の低さに悩み、女性スペースの利用を自主的に諦めている方も多くいます。しかしその一方で、男性スペースの利用を断られる場合も多く、そのためどちらにも居場所がないので困っているのです。
6.トランスジェンダー女性と犯罪を犯すために女装する男性、おじさんと区別がつかない。さらには女装する男性、とトランスジェンダー女性を混同している
今回の件の最も大きな食い違いは(コメントの多くの批判的な意見が「女装男性」「男性」と記載されている通り)女性用下着を求めに来る男性への嫌悪です。トランスジェンダー女性がそれらと容姿の区別がつかないこと、とりわけ犯罪のために女装をする男性と区別がつかないことを心配するご意見が数多くありました。
また、私たちは全てのトランスジェンダー女性が下着専門店にお伺いをし試着をするべきだと申しているわけではございません。人により意見や考え方が異なる中で、どうしたらお互いにとってより良い解決方法になるかを探っております。
理解していただきたいのは「男性」も「女装する方」も「犯罪を犯すために女装する男性」も「トランスジェンダー女性」も、4者とも全く異なる存在です(その違いを明らかにした記事は別途掲載予定です)要するに私たちと批判的意見を持つ方々との間では、トランスジェンダー女性に関して頭で思い浮かべるイメージ像が異なるということです。
批判的意見を持つその多くは、トランス女性はきっと体毛が濃く、骨格ががっちりとしており、髭の生えてウィッグをつけたおじさん、そのように捉えているかと思います。やや大げさな考え方かもしれませんが、それに近い感情を覚えているのだと考えています。結局はルッキズム問題なのでしょう。
ルッキズムを個人として肯定するつもりはございませんが、SRSを受け、胸がある状況のトランスジェンダーにとって下着は日用品です。そしてトランスジェンダーにとって「女性としての生活」を獲得している場合、容姿の問題も起きず、男性としての性犯罪も物理的にできません。つまり、その実態は可視化されません。こういった生活スタイルを「埋没」と呼び、多くは元男性であることすらも内密にしております。もしかするとあなたのご友人がトランス女性である可能性も内包しつつご意見して頂けると幸いです。
海外のデータについて
海外ではトランスジェンダー女性により性犯罪が増加している。や、トランスジェンダー女性は性犯罪が高いという指摘も多数ありました。
「カリフォルニア大学ロサンゼルス校が2018年に発表した米国初の大規模調査では、性自認による差別禁止をした地域、していない地域を比較したところ、トランスジェンダーが性自認によりトイレを使うことが法的に認められても性犯罪増加にはつながっていないことが指摘されました」
https://trans101.jp/2021/10/23/1-2より
https://link.springer.com/article/10.1007/s13178-018-0335-z より
と示すデータがあります。恣意的な指摘です。
タイでは、トランスジェンダーに寛容である一方で戸籍の変更は認められていませんが、女性スペースの利用は自由であり、大きな社会問題にもなっておりません。
どちらが正というつもりはありません。もちろん国が変わればルールは変わります。私たちの国でこれからどのようなルールが良いかは改めて考えていくべきだと思います。
7.気持ちが悪いという生理的嫌悪
「気持ち悪い」という意見を一番多く頂きました。それ以外にも「死ね」「消えろ」といったリプライやメッセージを大量に頂きました。
生理的に気持ち悪いという感情を抱くことは仕方がありませんが、その「投稿」をタップする前に一呼吸おき、あなたの人生にとってもその一言が本当に必要な言葉なのか今一度考えて頂きたいです。引用RTなどの投稿は相手に届く形で配信されます。こちら側にも多くの人間がいることをご理解いただけますと幸いです。
編集長して
なお、上記は乙女塾の記事編集長としての私の見解であり、当見解は西原さつきや他メンバーとは関係ありません。各メンバー間では個人的な考えや利用状況が別にあります。今回は、編集長という立場から「チャレンジングで挑戦的な内容」を記事にしたことは反省せざるを得ません。しかし今後も女性の方への配慮をしながらも、トランスジェンダー当事者や女装する方に有益な情報を発信できるように邁進させていただきます。どうか応援を頂けますと幸いです。
メーカー様へのお願い
過去に何度かメーカー様にはトランスジェンダーの下着問題について何かしら解決方法を一緒に考えていけないか?という旨のお願いを何度かやり取りさせていただいております。草の根的には少しずつ動きはあるものの、いずれの企業様も本格的なお取り組みには繋がっていないのが現状です。
改めてお伝えしたいのが、我々はシスジェンダーの女性のスペースに入ることを目的としているわけではなく、自身のサイズも分からずに買い物自体も疎まれてしまう状況を打破したいというのが私たちの思いです。
・オフピークタイムに別途、買い物時間を設ける
・トランスジェンダー向け下着のサイジングを用意する
・出張で下着サイズの測定をする
思いつく限りでもこのような取り組みがございます。本当に勝手なお願いばかりで大変恐縮なのですが、もし少しでも私たちと一緒にこの問題を解決しようと考えてくださるメーカー様がいらっしゃいましたら弊団体のお問い合わせフォームよりご連絡頂けますと幸いです。我々としては生来女性の方にも納得してもらえるような解決法を切に望んでいる状態です。
最後に
今回の記事にありました下着に関する内容は、我々をはじめとする多くの方にとってセンシティブな問題です。私たちだけで全てのトランスジェンダー女性や女装をされる方々を啓蒙することはできませんが、よりよいライフクオリティを提供できるように取り組んで参ります。また今回の件を機により一層女性の方の安全を脅かすことのないよう、あらためて今後とも乙女塾のメンバー一同で考えてまいります。
重ねて申し上げますが、前提としてシスジェンダーの女性に対して迷惑をかけたくはありません。しかし、トランスジェンダー女性はきっとみなさまの想像以上に下着問題に苦しんでいます。あのような実態調査を行い報告をしなければならないほど、追い込まれているということを知っていただければと重い、この度は筆をとりました。そして該当の記事を執筆したのはシスジェンダーの女性であることを改めてお伝えしておきます。
どうか今一度ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。
※なお、週末は終日乙女塾の営業なため、私が対応できず、週を明けての記事作り失礼致しました。