「ROGD(急性性別違和症候群)」とは何か?

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5日に角川書店が「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇」の発売中止を発表いたしました。

同著の何が問題だったのかは以下をご覧ください。

もちろん、この書籍は原文を読んだ方からは明らかにトランスヘイトという意見が多く、色んな意味で問題作ではありますが、原著がとりあげていた「ROGD(急性性別違和症候群)」という概念は知識として紹介致します。

原著がとりあげる「ROGD(急性性別違和症候群)」という概念

「ROGD」は、乱暴に言ってしまえば「生まれながらの女性が10代の思春期に性別違和を急速に感じる(または遅発性とも)」と考えるケースです。仲間からの影響や社会的伝染によってトランスジェンダーと感じるというもので、「社会的なコーピングメカニズム」があると作者は指摘しています。

アメリカではそうした自らをトランスジェンダー男性(FtM)だとして性別違和を訴えたケースのうち、男性ホルモン治療や乳房の切除を行ったが大人になってやはり自分は女性だと感じたといったことが少数でありました。(しかし、声が低く、髭が生えている)

これが書籍で取り扱われた「ROGD(急性性別違和症候群)」という概念です。ROGDは医師であるリサ・リットマンが2016年に考え、2018年に論文で提唱したもので「プロス・ワン(PLOS One)」にて発表されました。

しかし、「ROGD」の概念はすぐに批判を浴び、世界トランスジェンダー健康専門家協会(World Professional Association for Transgender Health)らが声明を発表するに至っています。

この論文は結果として大幅な修正を行い、2019年に再出版として下記に公開し直されています。

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0214157

しかし、どこの専門機関もこの「ROGD」を認めるに至っておらず、正式な病名にはなっていません。

論文の著者であるリサ・リットマンは自らの研究は誤解を招いていると、波紋を呼んだ後にコメントを残しています。

日本では若年層の治療はどうなっている

日本では、松本洋輔医師のインタビューでは、FtMは年齢層が若く、MtFは年齢の幅が広いというデータがあると答えています。

生まれながらの女性が、思春期に「自分は女性ではないかも」とか「女性を好きになる」とか「メイクをしてハイヒールを履くのはいやだなとか」、性別違和や恋愛指向の一時的な変化がみられることは確かにあるという人は少なくないでしょう。一般的に「女性らしいとする」価値観が好きになれない人もいるでしょう。それが思春期特有のものなのか、社会システムで女性に割り当てられる役割や価値観がまだまだ男女平等じゃなかったりで苦痛を覚えるのか、性別違和なのか。もしかしたら、その時点では誰にもわからないかもしれませんね。

日本では、若年層への性別違和の治療はガイドラインでは第二次性徴を遅らせるに留められており、ホルモン治療は年齢がある程度上がるまで推奨をしないことになっています。また、上述の通りROGDは「トランスジェンダー男性限定」というのもポイントになっています。

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