GID学会のエキスパート研修を受けてきた

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    乙女塾

10月7日に行われたGID学会のエキスパート研修を受講しました。

こちらはGID学会が主催しているもので、申込要件は資格(医師,心理職,看護師等の医療関係職,教員,養護教諭,大学教員,弁護士等)を保有する且つGID学会員であることです。今は、自治体・学校等における性的マイノリティに関する講演会・研修会の講師、同じく自治体等の性的マイノリティに関する委員会の委員、自治体等の性的マイノリティに関する相談窓口の相談員にも門戸が開かれています。

当事者だからといってエキスパート研修を受けることは必要なことではないけれども、自己理解を深めるためチャレンジしてみました。NAOさんが同研修を受けた後に試験を受けて教育系コーディネーター資格をとったということに触発されたというのもあります。

私は、現職の教員なので受講の条件を満たしているということもありました。

実際に受講してみると、中身が濃くて知らなかったこと、ためになることの塊でした。この研修のあらましを紹介したいと思います。

GID学会エキスパート研修 講習の概要

GID学会のエキスパート研修は認定医、医療系コーディネーター、教育系コーディネーターの認定に必要な講習で年に2回開かれています。コロナ禍以前は対面だったようですが、現在はオンラインで実施されています。講義時間はおよそ3時間です。

受講の条件は上述の通り資格(医師,心理職,看護師等の医療関係職,教員,養護教諭,大学教員,弁護士等)を持つGID学会員です。自治体・学校等の研修会講師や相談員なども可能です。なお、GID 学会は年会費2000円を払えば誰でも入会できます。

講習内容は、性同一性障害の診療のガイドライン、診療体制、ホルモン療法、看護師の役割、ボイストレーニング、子どもの診療、二次性徴抑制療法、生殖医療、家族形成、同一性障害を取り巻く社会の変遷、特例法、ジェンダーの概念、WPATH SOC、トランスジェンダーの子どもとその家族・学校生活、文部科学省の動向、学校での取り組みなどで、医療系項目と社会学系項をあわせて18項目あります。今回の講義は次の4本でした。

「性別違和の医療の基本と生活支援」
「性別違和と社会」
「性別違和を持つ子どもと教育」
「性別違和の身体的治療やその問題点、家族」
講師は医師、心理職、教員などでした。

AMAB・AFABってなに?

講習で一番驚いたのはMTF・FTMという言葉を使っていなかったことです。かわりに使われていたのがAMAB(エーマブ)、AFAB(エーファブ)です。

AMAB assigned male at birth   出生時に男性の性を割り当てられた
AFAB  assigned female at birth 出生時に女性の性を割り当てられた

私が調べたところによると、最近作られた用語ではなく2010年頃には存在していたようです。

MTF・FTMよりも中立的な言い方でノンバイナリーの人などでも受け入れやすいという意味があるそうです。一方で身体的状況に特化した言い方でジェンダーが置き去りにされているとう批判もあり、あまり使われていなかったようです、それを、あえてGID学会が使い始めたということには、それなりの意味があるのだろうと思えます。

記憶に残ったこと

あくまで私の感性によるものですが、特に興味深かった項目を紹介します。

(1)トランスジェンダー生徒交流会

2006年に京都府立高校教員の土肥いつきさんがたちあげたもので、子どもたちが葛藤や悩みを分かち合い、学校生活をを生き抜くために支えう場所になっています。親のサポートや情報交換の場にもなっているとのことです。小学生のときから参加していて今は大学生になっているという人もいるそうで、息の長い活動をしているようです。関西という遠方のことでもあり、そんな素晴らしいものがあるとは知りませんでした。

(2)WPATH SOC

SOCは、WPATH(世界トランスジェンダー・ヘルス専門家協会)が制定した、「トランスセクシュアル、トランスジェンダー、ジェンダーに非同調な人々のためのケア基準」です。当事者を援助し、自らのジェンダーと末永く快適につき合っていくための、安全で効果的な道筋を提示し、彼らの健康全般、ウェルビーング(well-being)、自己充足を最大化することを目的としています。

(3)黄体ホルモン

 黄体ホルモンについては、ネット上で色々な情報が飛び交っていて、効果が高いものなのかハイリスクなのか半信半疑です。ところが、GID学会理事長である中塚先生の講義では「黄体ホルモンは原則として使用しない」とのことでした。はっきりしていてわかりやすい。

(4)岡山大学ジェンダークリニックの若年受診者

10歳~15歳と年齢の幅が狭いのですが、トランス女性の受診よりもトランス男性の受診の方が圧倒的に多いのです。MTFよりもFTMの方が多いということはよく言われますが、明確なエビデンスは示されていなかったので貴重なデータだと思います。また、トランス女性の受診者の約2割は自閉症スペクトラム(ASD)を合併しているそうです。ダブルマイノリティーが多いということも本当のようです。

講習をおえて思ったこと

講習の内容は濃く深く、強い刺激を受けました。修了証を頂いて満足感もあります。トランスをより良く進めようと思うと、多くの自己決定をしていかなくてはなりません。その判断材料としての知識や情報は重要です。

この講習は、色々な情報が流れているなか、特に重要な情報を与えてくれるものだと思いました。内容が濃いので頭の容量をオーバーしてしまったような気もしていますが、貴重な体験となりました。受講には条件があり誰でもできるわけではありませんが、可能であれば、ぜひ受講をお勧めしたいと思います。

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