はじめに
7月21日(祝)に認定NPO法人ReBitさんと一緒に開催した交流イベント「仕事と福祉のお助け会」、ご参加いただいた皆さまありがとうございました😊

当日は、わたし自身も当事者としてサポートに入らせていただきましたが、まだ記事を読んでいない方の中には「えっ、当事者だったの!?」と驚かれた方もいらっしゃいました。
この連載では、発達特性をもつわたし自身のこれまでの経験や向き合い方について4回にわたって綴ってきました。
最後となる今回のテーマは「家族やまわりの人との付き合い方」です。
なぜこのテーマを最後に選んだのかというと、自分らしい選択をして生きていくうえで、身近な人の理解と協力は何よりも大きな支えになると実感しているからです。
過去の葛藤
#1でも触れましたが、わたしの場合、小学1年生の頃に特別学級でお世話になった経験もあり、両親もなんとなくわたしの“特性”については察していたようでした。
でも、高校生になって実際に病院で診断を受けてその結果を持ち帰ったとき、父の口から出たのはこんな言葉でした。
「そんなことあるか!お前は勉強しないだけだ!」
──わたしの父は、昔ながらの「俺が家族の長だ!」と言うような堅物大黒柱タイプ。
母は5人の子育てに手一杯で、難しい話は全部父任せ。
当時のわたしの状況や悩みを、両親ともにきちんと理解できていたとは思えませんでした。
友人との距離感
友達に勇気を出してカミングアウトしたときも、返ってきたのは…
「そんなの私だってできないこといっぱいあるよ〜」
「あの子もあの子もそうじゃん。気にしすぎだって!」
──軽く流されたり、共感してもらえなかったり。
当時は「学習障害」という言葉自体、ほとんど浸透していなかった時代です。
しかも私は、当時まだ珍しかった“ハーフ”でもあり、目立ちやすい存在だったことから、小1から中3まで6年間、壮絶ないじめにも遭ってきました。
金八先生のドラマに出てくるような、あらゆるタイプのいじめを経験したと思います。
そんな中で、唯一わたしのSOSに本気で向き合ってくれたのが、小6のときの担任の先生でした。
あの先生がいなかったら、わたしは“障害”や“いじめ”に押し潰されていたかもしれません。
今でも感謝してやまない存在であり、
「人に優しく、言葉にしたことは必ず行動に移す」
という先生の姿を見て、わたしもそういう大人になろうと誓いました。

少しずつ築けた関係
ある時ふと、こんなことに気づいたんです。
「あれ?わたし、いつも“自分ごと”としてしか伝えていなかったかも…」
つまり、周囲の人からすると、わたしの悩みや困りごとは“他人ごと”にしか見えてなかった”ということ。
それでは他人はイメージできない、伝わらないよな…と反省し、
そこからは「どうやったら伝わるか」を考えて話すようにしました。
「お願いにも段取りが必要なんだ」
何かをお願いするときは、ちゃんと段取りを踏むようにしたんです。
例えば──
「私はこれこれをやりたくて、まず自分なりにこう考えて、こう行動してみた。
でも実際やってみたら、どうしても〇〇だけは難しかった。
これは“障害の特性”ゆえのものなので、よければここだけ手伝ってもらえないかな?」
こんなふうに、努力したプロセスを伝えたうえで、“具体的にどこが助けてほしい部分か”をはっきり言葉にするようにしました。
理解されるためには、理解しようとする姿勢も大切
便利なアプリやAIが当たり前の時代になったのに、調べる前から何でも人に頼るクセがついてしまうと、どんなに理解ある人でも頼られる事に疲れてしまいます。
人間、やっぱり「プロセス」が大事なんですよね。
そして忘れちゃいけないのが──
ツラいのは、自分だけじゃない。お互いさま。
理解者も理解者なりに、日々努力していたり、我慢していたりするんです。
だからこそ、助けてもらうためには「甘え上手」になることも大切。
わたしの座右の銘
ちなみに、わたしの座右の銘は2つあります。
● 無知ほど罪なものはない
● 愛されたいなら、まず自分から愛しなさい
前者は「知るすべがあるのに、知ろうとしない姿勢こそが一番の罪」という意味。
後者は、キリスト教の聖書に出てくる言葉です。
優しくされたい、理解されたい、仲良くしたい──
そう思うなら、まずは自分が相手に与えること。
それが巡って、いつかちゃんと返ってくると信じています。

おわりに
私はこれまで、壮絶ないじめや障害の特性と自分なりに向き合ってきました。
いまもパニックになると、発作が起こるし、視界が早送りになったように感じて突然道端で立ち止まってしまったり、動作が速くなりすぎて制御がきかなくなることもあります。
でも幸い、今はとても理解のあるパートナーがそばにいてくれて支えてもらっています。
31歳になった今でも、うまくいかないことはあるけれど、
自分の特性を理解して、整理して、対策を考えていけば──
きっとどんな未来でも、自分らしく突き進めると信じています。
4回にわたってお読みいただき、本当にありがとうございました🌿
この連載が、どこかの誰かの小さなヒントや安心につながっていたら嬉しいです。
