ダイバーシティキャリアは、認定NPO法人ReBit(りびっと)が運営する、日本で初めてのLGBTQフレンドリーな就労移行支援事業所です。障害や病気のある方に向け、就職や復職を目指す支援を行っています。
今回は、ダイバーシティキャリア責任者の石倉摩己(いしくら・まみ)さんに、障害や病気があるLGBTQという「ダブルマイノリティ」の人たちが、どうすれば自分らしく働けるのか、そしてそのためにどのようなサポートがあるのか伺いました。

(乙女塾運営部)ーー ReBitとはどんな団体なのでしょうか。
石倉(以下略):認定NPO法人ReBitは2009年に活動をスタートし、「LGBTQもありのままで未来を選べる社会へ」を掲げ、教育事業やキャリア事業に取り組んできました。キャリア支援の中で、精神障害や発達障害、HIV陽性でかつLGBTQの方からの相談が多く寄せられるようになりました。月1〜2回の面談では十分に寄り添えないケースも多く、地域の障害福祉サービスをご案内しても、そこでセクシュアリティが起因しハラスメントを受けてしまうことも少なくありませんでした。

そこで「障害があるLGBTQの方も安心して利用できる福祉サービスを自分たちでつくろう」と、2021年に東京、2024年に大阪で就労移行支援事業所「ダイバーシティキャリア」を立ち上げました。複合的な支援ニーズを持つ方が、安心して利用できる環境を整えています。
ーー そもそも、就労移行支援事業所ってなんですか?
病気や障害、通院があり、就職や復職をを目指す人に、必要な知識やスキルの習得を支援する障害福祉サービスです。仕事を直接紹介・斡旋するのではなく、就職や復職に向けた準備と、その後の就労への伴走を行う場所です。
具体的には、
・就職に必要なスキル習得の研修や職業訓練
・履歴書作成や面接練習などの就職活動支援
・企業インターンなどの就業体験
・就職後も継続的にサポートする「定着支援」
などを提供します。現在働いていない方や、休職中の方が利用可能です。

「障害やセクシュアリティを受け入れてくれる会社があるか不安」「自分らしく働きたいが、方法がわからない」など、一人ひとりの悩みや不安に寄り添いながら、自分らしい生き方・働き方を見つけることを応援しています。
ーーダイバーシティキャリアの特徴は?
大きく分けて4つの特徴があります。
1つ目は、多様性を大切にする企業と出会えることです。

私たちは、2009年からLGBTQや障がいなど、多様性を尊重する職場づくりに取り組み、500社以上と連携してきました。そのため、ダイバーシティに取り組む企業の説明会やインターン機会がとても豊富です。
2つ目は、安心できる環境で自分らしい働き方を考えられること。
髪型・服装自由、在宅や週2日〜の利用も可能です。コミュニケーションやストレス対処の講座、多様な社会人の話を聞く機会、さらに希望者には服装選びやメイク、ボイストレーニングも希望者は行えます。
3つ目は、IT・ビジネススキル・英語が学べること。
ビジネスマナー、Office、Webデザイン、動画制作など、1000以上のeラーニングから学べます。外資系企業を受ける方には英語面接やレジュメ添削もサポートします。
4つ目は、専門家チームによるキャリア&メンタルサポート。
福祉職、心理職、キャリアコンサルタント、人事経験者がチームで伴走します。個別面談や履歴書添削、面接練習を通じて安心して就職や復職を目指せます。
ーー利用にお金はかかるんですか?
障害福祉サービスですので、利用者の約9割は自己負担0円で利用されています。ただし、利用料は前年の収入によって変わります。詳しくは、お住まいの市区町村の障害福祉課などでご確認いただくか、まずは公式LINEからお気軽にご相談ください。
ーー利用はどうしたらできますか?

まずは雰囲気を体験してみてください。体験するか迷っている方も、個別面談の予約や公式LINEから気軽にお問い合わせいただければと思います。LINE・オンライン・電話などでも相談が可能ですので、ご自宅からいつでもご参加できます。
ーー ReBitさんと乙女塾は、イベントやセミナーなどでもご一緒しています。LGBTQ支援で培った経験や知識を活かして、ダイバーシティキャリアセンターでは就労移行の支援をされているのですね。
今回は、就労移行支援事業所「ダイバーシティキャリアセンター」の概要についてお話を伺いました。働くことに不安や悩みを抱えている方や、自分らしいキャリアを見つけたいと考えている方にとって、安心して相談できる心強い存在だと感じます。
次回は、ダイバーシティキャリアセンターの具体的なプログラム内容や、実際に利用された方の体験談を詳しくご紹介します。どうぞお楽しみに。
YouTubeもご覧ください。

話を聞いた人
Rebit
石倉 摩己(いしくら・まみ)
精神保健福祉士/相談支援専門員/手話通訳士
子どもの頃から性別に違和感があり、誰にも相談できずいじめを経験。大学から社会人初期は “おなべバー” でのアルバイトをしたり、ろう者のカルチャーに触れるなど、自分らしい生き方を模索した。トランスジェンダー男性。
