MtFトランスジェンダーの中には、必要以上に女性ホルモンの量を多くとりがちの方がいます。こういった行動は「早く女性化が進むのではないか」「より女性化が進むのではないか」という思いからきているように見受けられます。
しかし『Transgender Health』2024年2月12日(https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/trgh.2023.0209)で、投与量が多いことは生理学的超過をしていると警笛を鳴らしています。
それによるとガイドラインでは「エストロゲン注射を2週間ごとに5~30 mg、またはシピオン酸エストラジオールや吉草酸エストラジオールを交互に2~10 mg筋肉注射することが推奨されています」としています。(この場合のガイドラインとは日本のものとは異なります)。
しかし、その容量用法では、血液検査でのエストラジオールのレベルが同じガイドラインで推奨されている範囲を大幅に上回るとしています。
生理学的超過を避けるためには、毎週5mgのエストロゲン注射が望ましいとしています。
ちなみに錠剤ですと、一番有名なプレマリン錠が0.625mgで一日4回まで言われておりますが、そうなってしまうと1日2.5mg(週に17.5mg)となり大幅に上記の提言を上回ることになります。
さらに同記事の3月5日付のものではhttps://www.liebertpub.com/doi/10.1089/trgh.2023.0138では、錠剤、舌下、注射、経皮(パッチ)でのエストロン(E1)/エストラジオール(E2)比を比較したデータがあります。E1、E2ともにエストロゲンの種類になります。
っそれによると、286人の患者のデータでは、エストラジオールを経口した場合のE1/E2比が最も高く(9.28)、舌下群 (6.88) がそれに続きました。経皮投与群と注射群はどちらも、E1/E2 比が大幅に低かった (それぞれ2.22と0.84)。
そして、大事なことは注射群の平均エストラジオール (1557 pmol/L、424.1 pg/mL) は、エストラジオールの他のすべての経路で観察されたエストラジオールレベルよりも著しく高かったということです。つまり、注射の効き目はかなり大きいということになります。
皆様、用法容量をお守りになりお身体に気を付けてホルモン療法を行なってくださいね。