6月に行われたSRS交流会に来てくださった皆様改めてありがとうございました!!
SRS(性別適合手術)の情報がネットで容易に入手できる現在、一昔前に比べて当事者に取って手術を受けることのハードルは低くなったといっても過言ではありません。実際に乙女塾ではこれまでに数多くの生徒さんが性別適合手術を受けてまいりました。
しかし、手術は身体の負担が大きいことに変わりなく、特に年齢とともにリスクが高くなると言われています。また一方で、本場タイでの手術の場合、医療を受けるための渡航、アテンド会社という存在などは未知数であると感じている人も多いでしょう。
交流会を通して情報をお届けしようとしたのですが、まだまだ話したりない!!もっと情報が欲しい!という声を多数いただきました。そこで改めて各アテンドや出演者に取材を敢行しました。
今回は60歳という年齢で性別適合手術を決意し、一度は病院から検査でNGをもらった古田ヨシミさんに話を聞きました。
(インタビュワー:ふみか、取材日:2022年7月15日)
(乙女塾編集部、以下略)ヨシミさん、先日のSRS交流会への参加ありがとうございました。また、インタビューに応じていただきましてありがとうございます。まずは自己紹介からお願いします。
古田ヨシミ(以下略)古田ヨシミです。昭和33年1月生まれで、現在名古屋在住です。妻がいて娘が2人います。孫も1人います。2018年5月、タイのガモン病院でSRSを受けました。
ーーまずはどの様な経緯で性別適合手術を受けることを決意したのかお聞かせ下さい。
60歳になったあたりで性別への違和感を感じだしてきました。おそらく、男性の更年期障害の中でホルモンバランスが崩れたタイミングだったことが影響していると思います。
性別への違和感についてネットで情報を調べたところ、(インフルエンサーの)スザンヌみさきさんの活動を知り、色々と情報を得たり相談に乗ってもらったりしました。
女性ホルモンを始めようと決断して、まずは個人輸入で入手して服用するところから始めました。しかしながら、ホルモンの影響からか肝臓の状況が悪くなり、結局GIDクリニックを受診する事になりました。
ーーいわゆるフライングホルモン(クリニックの診断を待たずに自己判断でホルモン療法を行うこと)ですね。
はい。そのクリニックで、まずは睾丸摘出を行うことで、薬の服用量を減らすことで肝臓への負担を下げることができました。
さらに、陰茎の切除や豊胸も進めようと、そのクリニックに相談したのですが、「(当時は)見た目がともなわない」ことから反対され、いったんはホルモン以外の治療は断念しました。
その頃、タイSRSガイドセンターの相談会が大阪で開催されることを知り、相談に乗ってもらったところ 「タイのガモン病院であれば日本国内ほど見た目の条件が厳しくなく、性別適合手術が受けられる」「60歳に近くても手術をしてくれること」を知り、手術を受けることを即断しました。
ーー 性別適合手術は年齢制限があるのですか?
身体への負担が大きいことから、タイ国内でも60歳以上で性別適合手術を引き受けてくれる病院はほとんど無いようです。
私が手術を受けた当時でもガモン病院以外では(※1)引き受けてくれないようでした。
(※1 2022年からはガモン病院でも60歳までが年齢制限となりました。60歳を超える方は、持病がなく、健康状態が医学的に問題が無い状態で、事前にガモン病院の確認を受けることが必須となりました。詳細についてはタイSRSガイドセンター等にお問い合わせください)
そのガモン病院でも、手術を受けるに当たっては特別な健康診断を日本で受けてその診断結果を送ることが要求されました。
運よく診断結果に付いては特に問題となることはなく、2018年2月に性別適合手術を受けられることになりました。
ーー海外で手術を受けるに当たって、ご家族の反応はいかがでしたか?
家族には何も話しませんでした。既婚であり、子供もいる状況だったためです。
できる限り周囲にカミングアウトせずに、性別の違和感に向き合おうとの決意がありました。
ちょうどその頃仕事の関係で毎月のようにマレーシアに出張していたこともあり、長期出張でタイに行ってくるという説明を家族して、タイに渡航しました。
ーーところが、健康診断の結果を送ったにもかかわらず、最初はガモン病院から手術NGを出されるのですよね。どの様な状況だったのでしょうか?
タイの渡航は、ちょうどマレーシアへの出張の直後だったのです。多分その疲れが残っていたのでしょうね。
ガモン病院で手術前の検査を行った結果、高めの血圧が出てしまい、タイの総合病院で精密検査を受けることを指示されました。その結果も芳しくなかったことでガモン病院としては手術をする事はできない。という判断が下されてしまったのです。
ーーそれは辛いですよね…。でも、そこで諦めなかった!
「中編」手術を受けるに続く。