11、12日と2日間にかけてWork with Pride 2020 カンファレンスが開かれ、YouTubeでもライブ配信がされました。
今回は「職場におけるEquality」をテーマに出演者が2日間にかけてトークセッションを行いました。「PRIDE指標」を多くの企業が達成したことをあげ150社以上がゴールド認定を受けたことが大きく報道されていますが、ここでは違った視点でお送りします。
パネリストには当事者も多く自然とLGBTQが新型コロナウィルス環境下の昨今どう取り扱われているか、どう過ごしてきたか…といった話がでてきました。
特に興味深かった点は、総務部長はトランスジェンダーでもおなじみの岡部鈴さんのコメントです。岡部さんはLGBTやSDG’sといった言葉が広まってきた昨今だが「そのことが逆に、今だったら(180人にメールを一斉送付するような)カミングアウトする勇気があっただろうか?」と疑問を発しました。
また、新型コロナウィルスでリモートワークが中心になり、LGBTQも孤立するケースが目立つのではないかという点に対して「(新型コロナウィルスによって悪くなったこともあるが)良くなった点もある」と前向きな発言を残しました。
このような多角的な視点は新鮮なもの。確かにLGBTという言葉が広まった一方で、流行り的な捉えられ方や、はれ物に蓋をするようなマニュアル的な対応にならないように世間が進んでいかなければならないと感じました。
今回のイベント、何といっても注目は台湾のIT担当大臣オードリー・タンさんの出演でしょう。オードリー・タンさんは台湾のLGBTQをはじめとしたジェンダー教育の進展した社会を紹介しました。
「台湾では女性総統が登場するなど女性の社会進出が進んだ。その結果、LGBTQをはじめとしたジェンダーが平等になる基礎となった」とし、2020年1月に改選された一院制議会、立法院の議員では、女性が全体の41.6%を占めたこと。また、同性婚の法律が制定されたことを「台湾ではカミングアウトやジェンダーに関するそうしたことは普通のこと」と進んだ像を示しました。
その基盤には様々な理由があげられましたが、中でも「台湾でのジェンダー教育は小学生、中学生だけといった一過性のものではなく長い人生の中をかけて学んでいく」ことをあげ、「LGBTQの子供たちは親や祖父母からサポートを受けることができる。そうした先例を学んだり、見ることで自らの子供がLGBTQだったとしても対応することができる。」とコメント。
自らも「15歳の頃に起業したが、ジェンダーについてそれで何かあるということはなかった。それは周りの人も自分たちの周りにそういう人たちがいたり、学んできていたから」と自らの体験とサポートのあるべき姿を見せてくれました。
日本ではLGBTQであることで親との関係を悪くする、親と一時的に縁を切り…といった話がまだまだ多く聞かれます。それだけに、このような未来が早く訪れることを望むばかりです。
そして性別の多様性について「性別の理想は男女の選択でもなく、だからといって男女以外の選択肢を増やすのでもなく、自由に好きな言葉を記載できるべきだ。」と自論を展開。
「台湾ではプログラマーのことをプログラムデザイナーと呼ぶ。従来のエンジニアでは男性的な言葉であり、デザイナーであれば男女関係がない。(そうした)言語化はとても大事なこと。」としてジェンダーの多様性について独自の意見を述べました。
最後に気になったのがsalesforceの岡林さんが新型コロナウィルスで遠距離恋愛になったことをあげ、LGBTQに限らない問題ですが外国人カップルや単身赴任など遠い地域の移動が制限があるコロナ下での恋愛事情という新たな課題を感じさせました。