女性支援法という法律が2024年4月に施行されたのをご存じでしょうか?そして、そこにはトランスジェンダー女性に対する言及もあります。
売春禁止法と女性支援法
女性に対して支援をする法律はいままで「売春禁止法」がありました。これは売春をせざるを得なくなってしまった女性を「補導・更正」する法律でした。
売春禁止法はいままで「売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずる」とあったため、トランス女性が、男性にたいして体を売るいわゆる「ウリセン」に対しては(性別が戸籍変更をしていない男性同士である場合)なんら処置されてこなかったのです。また「買春」をする男性を処罰する法律はなぜかまだありません。
そこで「補導・更正」を「女性福祉」へ大幅に舵を切ったのが、「女性支援法(正式名称:困難な問題を抱える女性への支援に関する法律)」です。女性の困難を支援するために2024年の4月に施行されました。
女性支援法とは? 「補導・更正」から「女性福祉」へ
「女性支援法」では、困難な女性という言葉の定義として、次のような女性が想定されています。若年女性、中高年シングル女性、障がい女性、外国にルーツをもつ女性、性的マイノリティ女性たちです。
都道府県ごとに、女性相談支援センターと、女性相談支援員を設置することを義務づけると同時に、細かな支援ができるように、民間団体(NPOなど)との協働がうたわれています。
この法律にかんして、厚生労働省社会・援護局から2024年6月にだされた通達には以下の様な記述があります。
「性自認が女性であるトランスジェンダーの者については、トランスジェンダーであることに起因する人権侵害・差別により直面する困難に配慮し、その状況や相談内容を踏まえ、他の支援対象者にも配慮しつつ、関係機関等とも連携して、可能な支援を検討することが望ましい。 」
しかし「他の支援対象者にも配慮」という部分が強調されてしまい、そもそも対応ができる施設が存在していない(男性用施設に収容されてしまう)という現実問題があります。今後の改善に期待したいところです。とはいえ、個別具体的に通達が出たということは、段階的に改善していくと思われます。
今が苦しいトランスジェンダー女性へ
法律ができた、将来わたしたちトランス女性も福祉の恩恵がうけられるかもしれない。
そんな未来のことをいわれたって、「いまが苦しいんです」「いまなんとかして欲しいのです」というトランス女性もいっぱいいるでしょう。
乙女塾へ行って先生や先輩達にあって相談したい。自分の困難をなんとかしたいと思っても、そのお金すら出すことができない人もいるでしょう。地方にいる仲間だって同じです。
私たちがいまできるのは、支援の窓口を紹介することです。順不同で掲載します。
・東京都女性相談支援センター
・地元の男女平等参画センター
・coLLabo(レズビアン団体ですが、トランス女性も受け付けています)
・にじいろ Q LINE相談
下2つはLINEのChatで会話できるし、相手は臨床心理士の資格保有者です。
トランスジェンダー女性は女性です。そのため、女性が受ける困難と、トランスジェンダーが受ける困難という、2つの困難を解決しなければなりません。しかし、心が疲弊すること、折れることってありますよね。そういう時は思いっきり人を頼ってみてください。周りの友だちに相談してみてください。そして、福祉という形で国も支援を差し伸べようという時代になってきています。決してあきらめないでくださいね。