トランスジェンダー女性が買い物するうえで最もハードルが高いものが下着(ランジェリー)ではないでしょうか?
実際に、下着専門店に買いに行くことは本当にできないのか?を調べてみました。
結論から申し上げますと「難しいお店が多いこと」「声、容姿のパス度が求められること」「堂々としていてほしいこと」という内容が挙げられました。その理由を述べていきます。
※これからお伝えする内容はあくまで育乳セラピストMAIが実際に一件一件お店を訪れてスタッフさんにお聞きした情報です。
※決して○○ブランドが受入れOKとかNGというわけではございません。同じブランドでも新宿店はOKだけど原宿店はNGという可能性は十分にありますので、あくまで参考程度にご活用いただけたら嬉しいです。
育乳マッサージコースでの現状課題
育乳マッサージコースが2023年に登場し1年が経ちましたが、トランス女性の多くが胸の悩みを抱えているにも関わらず下着に関して十分な知識がないことがわかりました。
サイズの合わない下着をつけている
サイズがわからない、測ったことがない
お店に行けない
サイズが通販にもない
といった問題です。
ランジェリーに関してはセンシティブな問題があり、皆トラブルにならないよう恐れながらも下着は日用品として使うもので、結果として姿勢の悪さ、胸の形の悪さなどを招いておりました。
現在、MAIは個人サロンでフリージアさんと試着測定会を行っておりますが、対応人数に限りがありすぐに埋まってしまう現状がございます。この取り組みは乙女塾としてより拡大して続けていきます。
一方で、実際に実店舗での買い物はできないのか、サイズにあったものを見つけられるのかをシスジェンダーの女性であるMAIが当事者に変わり調べることに致しました。
ランジェリー業界はあくまでもシス女性ファースト
大前提として基本的にはどこのお店もお客様の 99%は女性客です。その99%の女性客のおかげでお店は成り立っていますので、お店としては「女性のお客さまに不安を感じさせてはならない」と常に気配りをされながら営業しています。
ランジェリーは地肌に直接触れる商品であり、少なからずシス女性(シスジェンダーの女性のこと)にとってもセンシティブに感じる方は少なくありません。またシスでも貧乳で悩んでいる方も居ます。
しかも試着するとなると個室とはいえ裸になるシーンがあるので、壁の向こう側から男性の声がしたり、男性の気配がすることはとてもストレスに感じるんだそうです。
トラブルになった事例
トランスジェンダー女性に関してだけでなく「男性」「カップル」「女装さん」などでクレームが入った代表例を紹介します。
※トランスジェンダー女性が下記のトラブルを全て起こしたというわけではございません。
1. 試着室が隣接している場合
お店で試着室が隣同士の場合は、壁で隔てられているため、隣から男性の声が聞こえると不快に思い、試着中のお客さまからクレームが入ったそうです。
2. 試着室の前をカップルが買い物している場合
試着中のお客さまから「気になって試着出来ないから前を通らないように注意してください」とクレームが入ったそうです。
3. 容姿で男性と判断された場合
男性が試着したものを他の女性客が試着購入するのは非常に懸念されます。従って男性と判断された場合は断られてしまいます。
ランジェリーもアパレルと一緒で売れなかったら売り場に戻さるためです。
ランジェリーショップに確認してみました
1. 入店できないの?
ランジェリーショップに来店や購入は基本的に性別関係なくOKです。ホワイトデーのお返しなどで男性も買い物に来きます。また、カップルもいらっしゃいますから、入店や買い物を拒否することはないです。
2. MtFですが試着したい
試着部屋が2ブースある場合、隣接しているまたは向かい合わせが多いです。
その場合、声が男性だと他の女性客からクレームになる可能性があり試着を断られる可能性がありました。特に試着室の中は容姿は見えません。容姿の端麗なMTFの方であっても勘違いされてクレームにつながった事案があったそうです。
3. 女装ですが試着したい
ランジェリーショップは女性にとってセンシティブなお買い物空間です。いくらパス度が高くても女装さんは難しいことが多いようでした。
4. トランスジェンダーという言葉すら知らないスタッフがいる
多くはアルバイトの店員です。仮に会社としてLGBTQ+フレンドリーを掲げていても、理解促進をされていても店員一人ひとりまでが教育されているかは別問題です。実際、トランスジェンダー女性、トランスジェンダーといった単語を知らない店員さんが多くおりました。
なので親切心で「MTFです」「トランスジェンダーなのですが…」と言ってしまうと返って不安を煽ってしまうかもしれません。(過去に育乳の生徒さんで唯一試着できなかった方も自らMTFと言って断られています。)
一方、ニューハーフ、女装、二丁目の人と伝えると一発で伝わりました(笑)新宿という土地柄ゆえかもしれないと各店舗スタッフさんも言っていましたね。
5. 堂々としていてほしい
女性として堂々来店してもらえれば気づかぬまま案内していることも多くあるそうです。
というのは、女性でも大きな女性はいます。自分は女性だと思わせるくらい堂々としていてくれると助かるそうです。
お店側もパス度に関しては明確な基準がないのでスタッフさん次第だったりもします。ただし、明らかに声が低かったり、ガタイが良かったり、体毛が濃かったり、どう見ても「男性だよね」って思われてしまう条件が揃うと試着室は厳しいそうです。
ちなみに、下着屋さんでは試着室でスタッフさんがお着替えを手伝ってくれるのが鉄板です。そのため胸毛や腹毛があると男性認定される可能性が高いので要注意!
試着室に入られたくない場合は、事前に「人に肌を見られたくないので自分でやります」と素直にお断りしましょう。
6. 来店前にサイズ確認の電話を入れて欲しい
本来、男性の方と女性ではそもそも骨格が違うので、店頭にサイズがない、胸板が厚くてフィットしないパターンは大いに想定できます。
できれば来店する前に電話で在庫確認していただいた方がお手間にならないと思います。とそのようなご意見がいくつかありました。
以上になります。次回は実際の各店舗レポートです。