先日、GID学会の教育系コーディネーター試験について記事を2編書かせていただきました。その中で、1つ間違えてしまった問題が男女以外の性別を許されていない国を選べという問いでした。私はインドを選んでしまったのです。
何故間違ったかというと伝統的に第三の性に寛容でヒジュラという文化があるインドは(逆説的に)法律的には男女しかないと思っていたんです。タイと同じようにですね。
ところが、これは情報がアップデートされていないだけでした。インドは2014年4月に第三の性が最高裁で公認されていたのです。
インドのトランスジェンダー向け福祉SMILE
そのインドでは、インド政府の社会正義・エンパワーメント省が主体となりSMILEという「社会的に疎外された人々への生計と事業のサポート」プログラムがあるのをご存じでしょうか?
この国家的な策定では「トランスジェンダーの福祉のための包括的リハビリテーション」と「物乞いの行為に従事する人々の包括的リハビリテーション」という2つのサブスキームが含まれています。つまり、トランスジェンダーのための福祉が大々的に行われているのです。
トランスジェンダーの貧困問題はこの日本でも問題になっています。2020年に行われた、認定NPO法⼈虹⾊ダイバーシティと国際基督教⼤学ジェンダー研究センターの共同調査「niji VOICE 2020」(参加者2,231人/有効回答数2,029⼈)によれば、過去1年間で貯金の総額が1万円を切ったことのあるトランスジェンダー女性は45%、トランスジェンダー男性を含めても30%ほどという結果がでています。
しかし、日本では福祉のサポートは十分とは言えません。
インドでは「トランスジェンダー福祉のための総合リハビリテーション」として6つの項目があげられています。
詳しく見ていきましょう。
インドの「トランスジェンダー福祉のための総合リハビリテーション」
トランスジェンダー証明書とIDカード
2019年、トランスジェンダー権利保護法およびトランスジェンダー保護 の重要な規定。トランスジェンダーの自己認識に応じたトランスジェンダー証明書とIDカードに簡単にアクセスできるようになっています。
物理的なインターフェースを使用せずに全国から証明書と身分証明書を申請でき、トランスジェンダー証明書と身分証明書は全国的に認められているそうです。
奨学金
一定以上の教育には奨学金が用意されています。具体的には、中等教育(9年生と10年生)のトランスジェンダー生徒向けの奨学金、高等学校(11年生および12年生)教育のための奨学金、学生向けの奨学金(学部/卒業証書)、卒業後の奨学金の4つにわけられているそうです。
スキルトレーニング
日本風に言うと職業訓練でしょうか。短期トレーニング・プログラム (200時間から600 時間、最長 6 か月)、長期トレーニング・プログラム(5 か月以上、通常は最長1年)(最長 1,000 時間)の2つにわけられます。
総合的な医療の提供
インドに住むすべてのトランスジェンダーの人たちに健康保険を提供し、性別適合手術などの適切な治療や医療サポートを通じて健康状態を改善するといいます。その額は1万ルピー(約17万円)だそうです。
避難所の用意
インドでは12か所のガリマ・グレと呼ばれるシェルターのような避難所があります。
貧困および見捨てられたトランスジェンダーの人々に、住居、食事、医療、レクリエーション施設などの基本的なアメニティを備えた住居を提供することが目的になっています。そのほか、トランスジェンダーの能力構築・スキル開発の支援も行っています。
認識と感謝
トランスジェンダーの人向けのオンライン スキル トレーニングと雇用の機会を奨励し、SWAYAM ポータルのコースを受講した応募者に表彰/インセンティブを提供します。すでに200万人以上が訪問したといいます。
現在ではトランスジェンダー証明書は12729を超え32の州がこれに賛同しているといいます。