先のフォルマント測定の記事での反響ありがとうございます。
難解な記事なので補足をさせていただきたくもう1記事を用意しておりました。
まず、フォルマントとは声質のことになります。
つまり、フォルマントは自分の声の個性になり特に第4フォルマント以降は“個性”として存在するもので変えにくい?ものであるそうです。
首都大学東京(首都大)は10月24日、「自分の声」の識別に関する音響学的特徴を明らかにするために、音声の基本周波数と周波数帯域を操作した結果、母音や子音の情報を形成する「フォルマント」の影響が大きいことを明らかにしたと発表した。
にも書いてある通りですね。
前回の記事は理論的には非常に優れている「王道」のアプローチの記事なのですが、それだけが絶対というわけではございません。
そこで下記の記載も最後にさせていただいております。
※とはいえ、実際に測定をしてみると、パスしていると思われるMtFでもこのフォルマントの再現ができる人はほぼ少なく、実際は容姿や声の高さ、話し方、しぐさなどの総合点で決まる部分があります。MtF/トランスジェンダー的にはこの理論にとらわれすぎるとまた先に進めなくなる部分もあるのでそこはこういう方法があるよ、ぐらいに捉えてみてください。
というのは、どうすれば男声なのか女声なのかは諸説があるのでアプローチの仕方は複数あり、その中で自分に合った方法を選ぶのが良いのだと思います。
例えば、歌声の科学には下記の記載があります。
成人女性と成人男性は第一フォルマント、第二フォルマント、第三フォルマントでそれぞれ12%、17%、18%の違いがあるとしながらも
男女のフォルマント周波数の違いは、声における男性らしさ、女性らしさの知覚にはほとんど影響しないことがわかる。
とあり、
2つの性の間の声質において知覚上の最も大きな違いを導くのは、フォルマント周波数よりも発生周波数であることがわかる。
ともあります。つまり、こちらでは主音の高さのほうが大事だという説なのです。
一方で、voice-rebuildingやhttp://www.ne.senshu-u.ac.jp/~proj24-13/dl/pos2.pdfには母音を形成する第一フォルマント、第二フォルマントの男声、女声の領域について言及があります。
こちらは第三フォルマント、第四フォルマントの前に第一、第二の違いに着眼点を置いています。
大まかにそれらを総合すると以下のような感じでした
(アの発声)
第一フォルマント 男600~900Hz、女800~1100Hz
第二フォルマント 男800~1500Hz、女1200~1800Hz
(イの発声)
第一フォルマント 男150~350Hz、女200~500Hz
第二フォルマント 男1800~3000Hz、女2500~3200Hz
各母音は男女ともに似た位置に分布している
とある通り差はあるものの凄い差ではないようです。
Voice-Rebuildingでは、
「第3、4、5フォルマントの分布」が声質を決定するといわれています。
特に第4フォルマントが豊かな響きにおいて重要といわれており、この第4フォルマントを決定するのが咽頭腔と呼ばれる共鳴腔です。
と記載されており、前回の記事に加え第5フォルマントまでが声質を決めるという話だそうです。
うーーん、こう考えるととても深い話で頭がこんがらがってきますね。というわけで、何事も自分の中で咀嚼できるところを咀嚼して活用してみることが大事だと思います。
最後にかつて私の知人が書いたpdfを紹介して終わりたいと思います。前回の記事と理論的には大変近くやはり王道のやり方で、研究が好きな方には参考になると思います。
http://iciovp.toypark.in/fvp/FemaleVoicePractice.pdf