「個室ビデオ店の論文」で見るトランスジェンダーの扱い方がすごい

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学問というのは幅広いのだなと思う論文がありました。

「空間がジェンダー役割に及ぼす影響について: 関西個室ビデオ店の女装コミュニティ向けサービスの戦略と展開から(石井 由香理, 宮田りりぃ著)」

https://sophia.repo.nii.ac.jp/records/2008687

では、関西のとある地区にある個室ビデオ店がそれまで利用禁止にしていたニューハーフ、トランス女性の利用をOKにしたのを機に女装者向けのコミュニティとして成立。個室ビデオとしての使い方ではなく、着替え、仲間との集合場所、イベント開催とコミュニティスペースとして発展していったことをオオモト店長(仮名)へのインタビューを通じて論文にした内容です。

その中には、トランスジェンダーへの言及があり、それがとても優れた内容でした。

「僕が一番最初に店員に教育したのは、どうしても、やっぱり人の目だと思うんです。トランスジェンダーさんの方たちが一番気にするの、人の目。自分は自分だって自己主張をやっと出せるのは結構年月たってからではないかなと思うんです。なので、初めてこの店来たときに、一般のお客さんや従業員から、「何、あれ」って目を感じてしまうともう。なので、結構これ長年戦ってきたんですけど。一般のお客さんがそういう人たちを白い目で見ても、僕らは絶対にそういう目で見るなと。最終的に一般のお客さんとトランスジェンダー、どっちを守るんですかって、スタッフや前の店長が僕にこうね。そしたら僕は、満を持してトランスジェンダーのほうだと。だから、一般のお客さん減ろうと、こっちを取ってくれ、と。」

また、同店ではルックスが良い女装者を優遇するなどの策はとらずに全員を平等にしたことで、シスジェンダーの男性が女装者を性的な対象者として選ぶという男性優位の世界を構築しなかったことも1つの成功要因としてもあげています。

言い換えれば、差別も優遇、特別な配慮もなく「普通に接する」というだけの内容ですが、それがとても難しいのは言うまでもありません。

関東でも池袋アウルなど個室ビデオ店や発展形のお店からコミュニティスペース、イベント開催へとつながったお店は少なくありませんが、その裏でこうした環境構築のために努力した人達がいることに感謝ですね。

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