とてもマニアックな投稿になります。
MtFトランスジェンダーや女装する人に対してメイクレッスンの際、私は初回では極力ビューラーを行わないようにしています。それはなぜか、メイクに慣れていないとか、目にメイク用具を近づけたら怖いという理由もあります。しかし、それとは別にMtFトランスジェンダーや女装する人と現在発売されているビューラーの相性が悪いのではないかと考えるようになったからです。
もう1つは地雷系メイクのオーダーを受けることが多くなったのですが、地雷系メイク量産系メイクでつけまつげでたれ目を作る場合に目の幅の拡張のメイク技術に対してビューラーの進化が追い付いていないと感じたからです。
そこで、MtFトランスジェンダーや女装する人へ向けたビューラー完全ガイドを作ることにしました。
ビューラーって何?
ビューラーは、まつ毛をあげるためのメイクアップツールです。熱であげるホットビューラー、一部のまつ毛だけを上げる部分用ビューラーなどいくつかのタイプがありますが、ここではまつ毛全体を挟むビューラーについて解説します。
指を入れる場所があって、開閉することでまつ毛を挟むことができます。挟むことで上向きのまつ毛になるように癖付け「カール」させることができます。
MtFトランスジェンダーが気を付けたい3つの特徴
勿論全員があてはまるわけではありませんが、ビューラーが苦手と感じる方のうちご自身の技術の問題ではなくメイクアップツールが合っていない場合がありました。
それはなぜかというと平たい日本人へ向けたメイクアップツールを選んでいて、ご自身の特徴とあっていなかったからです。では、大まかに障害になりやすい3つの特徴を説明いたします。
アイホールボーン
トランスジェンダーや女装する人がビューラーを使う場合、一部の人でビューラーをそもそもまつ毛の根本に挟むことが物理的に大変な人がいます。
画像のように目に対して平行にビューラーを持ってきてもまつ毛に当たらないのです。これは、アイホールボーンが元凶であることがほとんどです。
「アイホールボーン」って何?という方がほとんどだと思いますので、下記のツイートを見てください。
当院では全世界で唯一、頭皮に1センチほどの切開を数か所 施して、眉骨とアイホールボーンを削る手術を行なっている病院です。
アイホールボーンはピンク色の部分にある骨です。この骨が下に発達していると、目が小さく見えてしまいますし、まぶたが厚く見える原因となります。
ラインID:kartps3615 pic.twitter.com/PoFubktpN8— 韓国K-ART整形外科_世界唯一の内視鏡ボリューム額整形 (@kartps3615) February 7, 2020
眉尻(眉毛の終わり)の下の方に盛り上がりがあるのがわかるでしょうか?赤い→で指されている個所です。
これは外国人や男性など彫りが深い場合に盛り上がりが認められる場合があり、これが邪魔でまつ毛に到達する前にビューラーがアイホールボーンにあたって動きを阻害されてしまうのです。
目幅が広い
次に問題となるのが目が大きい人が多いということです。自分で自覚していない人たちも多いのですが、とりわけ目幅が広い人が多くいます。4cm前後、目の幅がある人をたくさん見てきました。
人によっては、一般のビューラーでは長さが足らず一度で全てのまつ毛を挟むことができません。しかし、真ん中をあげて目尻をあげてと複数回分けるのには初級者には大きな関門んあります。まつ毛が上がる感動を味わう前に諦めてしまうケースがほとんどのように感じました。
目の幅が広かったり、目が大きいことはとても大きな武器です。乱暴に言い換えれば、武器ということは他よりも優れているマイノリティということでもありますから、ツールを意識して選ぶ必要があります。
余談ですが、カラコン業界では反対にカラコンは大きすぎるとして、「小粒目さん」と呼ばれる小さな目用のカラコンはたくさん発売されるようになりました。いつしかビューラーも目の大きな人用がたくさん出ることを期待しています。
彫りが深い
そして、最後が彫りが深い人が一定数がいてその場合は目のカーブがきついです。日本人に向けた一般的なビューラーではカーブが合っていないというケースです。
(ビューラー比較画像)
ビューラーはそれぞれ先端のカーブ具合が違います。画像はどちらもKOJIのビューラーですが、同じ会社でもカーブや幅を変えたアイテムを出しているほどなのです。もちろん会社が違ってもカーブは変わります。例えば、資生堂のビューラーは平べったく、アナスイはカーブがキツイといった具合です。
日本で一般的な人気を持つのは「平べったい人」に向けたビューラーなので、彫りが深い場合に全く合っていないものを買っているケースが多くありました。
MtFトランスジェンダーや女装する人のためビューラーガイド
では、どう対策したらいいでしょうか?
技術でカバーする場合
技術でカバーする場合は、アイホールボーンに当たることを見越してビューラーを最初から斜めまたは垂直にもって目に入れ込んでしまうのがオススメです。
(NGなケース、これだとアイホールボーンにあたります)
(OKなケース、やる前(最初)からこの角度でビューラーを目に迎え入れてしまいましょう)
また、目幅が広い、カーブがきついという方は頑張って複数回に分けてビューラーをしてみましょう。お勧めは、真ん中、目尻をそれぞれ別に分ける方法です。
用具から見直す場合
用具を今から揃える、または数千円までの投資ならば大丈夫という方は以下のことに気を付けてビューラーを選びましょう。
エッジフリー
ビューラーはまつ毛を挟む部分のサイドに「エッジ」と呼ばれる柱があります。
「エッジフリー」と呼ばれるタイプはこれがありません。つまり、若干ですがアイホールボーンに当たりにくい構造になっているのです。
(エッジフリーとそうでないものの比較画像)
幅が広い
単純にビューラーの横幅が広くなれば、目の幅が広くても挟めるようになります。
(横幅が広いビューラー)
ビューラーは一般的には直線距離で32、33mmのものが多いのですが、4cm弱横幅があるアイテムを選ぶのが良いでしょう。
カーブがきつい
ビューラーのカーブと、ご自身の目のカーブにあったものを選べばまつ毛の挟みやすさは各段にアップします。
しかし、ビューラーって試して買うわけにもいきませんよね。韓国では、ビューラーの目の幅やカーブを測定してR(曲率)の一覧表を作ることも少なくありません。ところが、「参考にすれば解決!!」とはいきせん。実は、1mm計測が違うだけで全然数字が変わってしまうので、一般人の測定では誤差がでてしまうからです。事実、SNSでは人によって値が全く違ってしまっています。
全体の傾向としては、一般的にフランス系ブランド(DIOR、シャネルなど)のマスカラはとりわけカーブがきつく、日本のブランドはカーブがゆるい(マキアージュ、KOJI)、日本の中でも花王系列(花王、KANEBO、エキップなどの傘下。例えば、SUQQU)は若干日本の中ではカーブがきつめといった傾向があります。
フランス系をおススメしたいのですが高いのが難点です。
高さがある
ここで問題があります。「カーブがきつい」ビューラーが良いということはわかっても、そうしたカーブの強いビューラーは、「ビューラーの幅」がその分足りないものも多いのです。
(ビューラーの高さ比較)
この場合、大事なのはビューラーの半径というか「高さ」なのではないかと思っていて、カーブが合わなくても「高さ」を合わせることでその代わりをすることができます。
おすすめのビューラー
ここまでで技術とおススメのビューラーの傾向を紹介してきました。
まとめると
・エッジフリー
・幅が広い
・カーブがきつい
・高さがある
しかし、残念ながらこの4つを兼ね備えたビューラーは見つけられていません…。
そこで2つ以上満たすものを紹介します。
マキアージュ
マキアージュは平たい顔向けのビューラーですが、幅が39mmと広くエッジフリーです。顔の陰影はあまりないが、目の横幅が気になる人、アイホールボーンだけ気になる人にはおススメです。実は私自身の一軍ビューラーはマキアージュです。
KOJI カービングアイラッシュカーラー
KOJIは多数のビューラーを販売しているのですが、その中でも1980円と一番高いビューラーです。
38mmと幅が広く、エッジフリーなのでアイホールボーンにも当たりにくいです。最近、仕事でお気に入りにしています。
アナスイ アイラッシュカーラーN
彫りが深い人向けのカーブのきついビューラーとしてはSUQQU(上述)やフランス系ブランドのほかにamplitudeやaddictionがありますが、一番としてアナスイをおします。
目幅も36mmと広めでかつカーブがSUQQU等よりきついです。そして1,100円と価格面で優位なのも選ぶポイントでした。この3つが高いレベルで両立することはなかなかないので、おススメです。
まとめ
まつ毛はあんまり上げなくても…と感じる方も多いと思うのですが、まつ毛が上がった時の印象的で大きな目の魅力は一度体現できるとメイクの楽しさが伝わりやすい場所です。
是非、一度ご自身のまつ毛をキレイに上げてみるということを体験してみてください。この記事が難しいよ!という人はメイクレッスンまでお伺いしていただければ、もっとゆっくり丁寧に解説しますよ。お待ちしておりますね。