トランスジェンダーに「似ているが違う」人たちがいます。今回はAGと略される(銀やデニムのメーカーじゃないよ)オートガイネフィリアを紹介します。
AG(オートガイネフィリア)とは?
オートガイネフィリアとは「自己女性化愛好症」「自己女性化偏愛性倒錯症」のことを指します。英語で「Autogynephilia」なので略してAGというわけです。
1989年にカナダの性科学者レイ・ブランシャールによって定義された比較的新しい言葉です。
日本では、自分が女性化することで性的快楽・興奮などを得ることとして紹介されています。その言葉の幅は広いというのが実情です。
広義の意味では女装すると興奮する、女装して男性に女性として抱かれると興奮するといったものが含まれます。SNSで自称AGという人たちはこのケースが多く、女装しての性倒錯を多分に含みます。性自認は男性で、男性である自分が女性としてというところが1つのポイントになります。
狭義の意味では他者の介在は挟まず自分が女性化を行うことが興奮する・愛するといった(例えばストッキングをはく、女性ホルモンを摂取することで興奮を得る)自己完結型と言われています。
妄想だけで済む人から女装をする人、性移行を行うものがおります。
広義の意味では女装したら興奮したというノーマルな男性の性倒錯が含まれるため、自称AGという方のセクシーな画像や動画の流出が見られます。
そのため、トランスジェンダーやまっとうな女装、狭義のAGからはただの男性の非日常的な性欲なのではないか?と下に見られている風潮があります。
そのため、狭義のAGと広義のAGでは両者の考えには隔たりがあります。
AG(オートガイネフィリア)とSRS
見た目上はトランスジェンダーと変わらないので、性同一性障害と診断されSRSまで行き着く場合も少なくありません。
その場合、性欲由来なので(性欲がなくなり)後悔するというケースと、女性化の究極系であるとして女性としてなじむケースがあります。
実際に自称AGで性別を変えた人たちが周りにいますが女性としてなじんでいます。過去の海外のデータでもSRS後の予後は比較的良いとされています。
AGとMtFレズビアン
AGが難しいのは狭義の意味ではトランスジェンダーにとって自らの女性化は興奮とはいかなくても安心する・ほっとした・喜びという感情で語られることが多くその差が難しいこと。
もう1つは元々の由来がMtFレズビアンを説明するために作られたということです。
つまり、古くはMtFトランスジェンダーは男性が好きと考えられた中で“例外ケース”として女性が好き、性的欲求が他者に向かないケースを説明する必要がありました。
つまり、男性が好きな「非同性愛性転換」とは違うという考え方です。
wikipediaでもカナダの裁判の事例が「2001年8月31日付けのカナダ人権裁判所(en:Canadian Human Rights Tribunal)の記録の第18節にも「異性愛的性転換者(heterosexual transsexual)はオートガイネフィリアであり、性転換手術後は自称レズビアンとなり、」としています。
そして、「自己女性愛性転換」という言葉を紹介しています。
この考え方でいうと現在のトランスジェンダーのうち女性が恋愛対象の場合は「AG」と定義されることになります。
このように実際の運用と元々の定義にはかなり開きがあります。また、女性が男性化することで興奮する「オートアンドロフィリア」というものもあります。