「シェアハウス」というものを、聞いたことがあるだろうか?
水回りやキッチン、リビングを共用しながら、自分の部屋である各個室には鍵がかかっている。プライバシーが守られているから居住者同士が、良い感じの距離感で暮らすことができる。
シェアハウスにも「LGBTQ+フレンドリー」を謳う所が、あっちこっちにある。東京では阿佐ヶ谷が有名だけれど、世田谷や西側のシェアハウスはどこも満室で、場所に関してもクローズドになっている。
大阪にできた新しいLGBTQ+フレンドリーシェアハウス「めぞんQ」
今回ご紹介するのは、大阪にできた新しいLGBTQ+フレンドリーシェアハウス「めぞんQ」だ。
場所は大阪府堺市北花田蔵前。大きなイオンモールが駅前から徒歩10分ぐらいで、御堂筋線で天王寺駅へ約12分、なんばへ20分、梅田へ30分という、とても交通の便が良いところだ。TRP(東京レインボープライド)でたまたま近くのブースにいらしゃった「LBGTと老後」という所からの紹介だった。
LGBTQ+の方は、どうしても実家との折り合いが上手くいかないときがある。とくにトランスジェンダーの当事者は見た目の変化がある。また、ご近所さんの手前、メイクやスカートなどのハードルが高くなる。親から“何かしらの圧”を感じたことがある人もいるだろう。でも引っ越するお金なんてない。そんな暮らしにくいセクシュアルマイノリティの方を救うために「めぞんQ」は作られたという。
入居にあたって必要なのは、身分証明書だけ。敷金礼金もなく、保証人も保証会社もいらない。
入居スタイルは2つ。「最低3カ月の利用をする長期プラン」と、「数日住む短期プラン」の2通りだ。部屋も長期4部屋、短期2部屋ぐらいのバランスで用意しているとのことだった。
「めぞんQ」にお試しステイしてみた
私がステイしたのは6月のこと。お試しステイが6月の期間中は無料、7月に入っても1泊500円の短期滞在可能と聞いて、勢いで入居を決めた。
わたしは関西出身だが、実家をすでに引き払っている。そのため帰省時にはいつもホテル暮らしだった。それが、今回のような6LDKの大きな1戸建てをリノベしたシェアハウスに住むということはまるで実家に帰ってきた感があって、とってもしっくりきた。
布団と、部屋によっては小さなテーブルは用意されてる。そのため、極端な話をいえば着替えだけ持ち込めば良い。ちょっとした家出感覚で住めてしまう逃げ場的存在(シェルター)なのが特徴だ。もちろん、同性カップルが禁止なんてこともない。
ここでは、いちいちジェンダーの話をしないで済む楽さと、みんなのフレンドリーさがある。わたしが住んでる2週間はあっという間に感じた。最終日は帰りたくない一心だった。
同居者はトランスジェンダーの方や、多分ゲイの方だよね?って人達がいた。ポリアモリーの人もよく来るらしい。(ポリアモリーとは、関与する全てのパートナーの同意を得て、複数のパートナーとの間で親密な関係を持つこと。または持ちたいと願うこと)
「めぞんQの危機」
しかし、実はこのシェアハウスが存亡の危機に陥っている。立ち上がって半年が経つが、未だ長期滞在の方が1名しかいないからだ。
Twitterでも「このまま9月まで長期滞在のひとが見つからなかったら、いったん終了する」とのアナウンスが流れてしまったのだ。困った当事者たちが、大阪、東京かかわらずリツイートしたり支援したりして、今は長期滞在の人を絶賛募集中だ。
例えば、転職の端境期に3ヶ月だけ大阪の人になるのも悪くない。さらに言うと堺市なので、ベタな大阪とはちがう、千利休がいた頃のような独自の文化があるのも面白い。ワークショップのようなイベントを定期的に開催してるのも、シェアハウスならではだ。
もちろん、わたしのような短期滞在も可能なので、是非相談してみてほしい。
「めぞんQ」を運営する団体QWRCとは?
めぞんQを運営する団体「QWRC」とは、「クィアー&ウィメン・リソース・センター」の略だ。クィアーはクィアスタディーズのそれで、LGBTQ+をふくめてジェンダーマイノリティのことを指す。そこにわざわざウィメンとつけてることには意味がある。
ウェブサイトには、フェミニスト文脈からクィアーを考えるとある。LGBTQの課題にジェンダーの平等は欠かせない。(ジェンダーの平等には)フェミニズムを考える必要がある。例えば、世帯年収が平均合計1000万を超すといわれれるゲイカップルと、平均600万円台といわれるレズビアンカップルの間には、大きな差がある。それは何か?ということだそうだ。
またQWRCの最大の特徴は、臨床心理士や精神保健福祉士といった、LGBTQ+当事者や理解がありメンタルに関するプロフェッショナルが、定期的にLINE相談やカウンセリングをしている。カウンセリングではRLE(real life experience の略。実際に望む性として生活していけるかという実生活経験のこと)のメンタル的なフォローなどをしているそうで、ジェンダークリニックから相談の紹介がくることもあるそうだ。
LINE相談は地域を絞ってるものはないので、もしジェンダーとメンタルの合わせ技で悩んでる場合は、一度相談してみてはどうだろうか。
リンク
QWRC(運営団体)
https://qwrc.jimdofree.com/
コリッシュ(ポータルサイト)
https://colish.net/concepts/1643
LINE:@qwrc
Twitter:@qwrcjp / @maison_q_osaka