「リセット」するや、せざるや、それが問題だ

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トランスジェンダーの中で一定のトランス到達時で過去を捨てる「リセット」を行うものがいます。

例えば、SNSアカウントを消す、LINEを消す、携帯電話を変えるといった過去の人間関係を清算する行為がこれにあたります。名前と性別が変わってしまえばだれも元の状態がわからないわけで文字通り別人になったとイコールなわけで、リセットする気持ちはわかります。しかし、実世界ならいざ知らずトランスの世界の中だけでもTwitterアカウントを消しては浮上したりと定期的にリセットしたりするものは少なくありません。

私は安易なリセットはするべきではない、と思っている派です。実際に「リセットをしたい」という人に対して「しない方がおすすめだよ」、ということは何度も話しています。一度フラットに考えてリセットすることのメリット・デメリットをまとめました。

リセットすることのメリット

・人間関係がリセットできる

トランスジェンダーの中にはトランスならではの事情をつかれいじめられたり、自己肯定感の低さから学生生活を満足に遅れなかったというものは少なくありません。そうした過去の自分と決別できます。

・元・男性(女性)であることがわからなくなる

トランス中に知り合った人材というのは元の性別を知っているわけです。そうした自分を知っている人と連絡をとらなければ、知らない人だけの世界になります。けじめになるでしょう。

・心機一転

心機一転気持ちを入れ替えて頑張ることができます。

リセットすることのデメリット

・友達が減る

単純な話ですが友達を作ることも0から始めなければならないです。そして、仕事仲間ではなく学生時代や過去の自分を知ってくれた友達というのはかけがえのない財産でありそれを失うことにもなります。

・世界が狭くなる

新しい出会いを積極的に求める人材でない限り世界が限定的になってしまいます。

・保険がきかない

仮に新しい職場になじめなかったり、新しい場で失敗した場合に他へ行き場がなくなります。気兼ねなくわかりあえる、愚痴をいいあえる友人はセーフティネットにもなります。

以下、私の持論です。単純な話、大人になれば友人といえど年に何回か会うのもやっとになります。だから、リセットしようがしまいが世界は狭くなってしまいがちです。

そんな中、私は比較的多く10ぐらいのコミュニティに所属しています。趣味、学生時代の友達からはたまた塾で仲が良かった人などその年齢、性別はばらばらです。そして、私の現状を知っているものも知らないものもいます。ただ、私が思うのは「例えば同じ年齢であれば特にですが」同じように歳をとり同じように人生を過ごしてきたという安心感は代え難いと思っています。また、だれかすごい成功したケースがあったら頑張ろうという活力になりますし、あまりよくないニュースをきいたら他人事でも落ち込んでしまいます。

トランスジェンダーの一部は「トランス」をいかに成功させるかに頭がいってしまいます。MtFトランスジェンダーが他のセクシャルマイノリティよりも厳しいのは少なくともある程度の容姿と声を獲得しなければ希望する性での生活がままならないからです。こうしたことは他ではなかなかないことです。しかし、本当の問題はトランスした先です。

トランスの趣味というと意外にも「電車、バイク、サバゲー、ガンダム、アニメ、カードゲーム」といった方が多いと思うんですが、そうした趣味の仲間だけでもずっと仲良くしていってほしいと私は思います。

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