女性として就職することを考えるにあたり、トランスジェンダーが不安に思うことは多岐にわたるだろう。だが、3月の交流会で示された先輩の経験談を見るに意外な側面が浮かび上がってきたのではないだろうか?
今回は大事だとこれまで言われていたことと、実際を見てみよう。
- SRSを終え、戸籍を変更している
- 容姿のパス度が高い
- 高学歴や前の会社での実績など優れた職歴が必要である
この点に関して、ゲストに出て頂いた田中友彩さんとローラ・ウェイクフィールドさんに改めて筆記でのアドバイスを聞いてみた。今回はローラさんに聞いてみた。
メンタルを鍛えて
パスできない状態でも就職はできますが、就職するために大事なことは環境選び・自分のマインドセット・容姿だと思います。
まだパスできない場合、まず自分を受け入れる環境を選ばないと社内の人間関係が難しくなります。職場の環境のせいで自分の仕事に対するモチベーションが下がって余計にストレスを感じると思います。
なので、パスする前に女性として働きたいならJob RainbowなどのLGBTの就職・転職サイトを通して仕事を探したほうがいいと思います。女性として働くことに慣れて段々と自分に自信がつくようになります。
パスできるようになりましたらその後は普通に女性としてもっと幅広く仕事を探せると思います。
働く環境とは別に、自分のマインドセットを磨くことがすごく大事だと思います。トランスとして社会に出ることは残念ながら簡単なものではないので、強いメンタルを作らないと日々の繰り返し・通勤・会社外の人とのやり取りで疲れると思います。
大事なところは、
①自分を信じること
②周りの目を気にしないこと
③何があっても成長のチャンスとして考えること
こういうマインドセットがあれば、結局どこで働いても堂々と働けるようになり、何か壁があっても乗り越えると思います。特にまだLGBTに関する理解が少ない業界で働く場合これは大事です。
パス度はやっぱり大事
本当はありのままの自分をそのまま受け入れる社会は望ましいですが、ちゃんと女性として認められたいなら努力して自分の見せ方を考えるべきだと思います。
私は最初の方パスできなかったのですが、最低限パーソナルカラーの診断、骨格診断、メイクのレッスンを受けてそれの元に似合うメイクや服装を選ぶようにしました。パス度が高いことと「可愛い」「透明感がある」といった印象は違います。パスをしていなくても「とにかくこの人は綺麗だ」「清潔感がある」などと思われるように努力しました。
パス度が足りない場合、ありのままの状態でいることになりますが女性として認められることが難しくなり、く自由な会社じゃないと採用が難しくなると思います。
無理しても女性として働く必要があるか考えて
私の場合は、割と順調に女性として働けるようになりましたが、やはりトランスでいること・女性として働くことに集中過ぎるのはあまりよくないと思います。
「LGBTに理解がある職場を選ぶ」ということは金銭面ではキャリアダウンすることも多くあります。 「とにかく女性として働きたい!」という気持ちは分かりますが、それはいつか普通なことになるのです。
ですから焦らずに、セクシャリティよりもこれからの人生で「何がしたいのか」「どのようなキャリアにしたいのか」を意識することがすごく大事です。
※(交流会)によるとローラさんはタコライスが好きであるが、元々はスキンヘッドに近い短髪でそこから髪を伸ばしていったという。Twitterの発言でもあったが、パス度よりも先に世間に出ることで得たものが大きかったという。メンタルを鍛えよ、というのはMIQ2018優勝のジェニファーの発言ともだぶる。