トランスジェンダー女性がSRS(性別適合手術)を考える際に大きな決断はどこの病院で行うかです。修正手術を行うことは稀にありますが、基本的には1回勝負、そして大きな金額がかかるだけに当事者にとって大きな問題になります。
タイのSRSや不妊治療など医療アテンドを行っているアクアビューティ(https://aquabeauty.co.jp/)に病院ごとの違い、日本と海外の違いについて答えていただきました。
乙女塾編集部(以下略)ーー 現在、SRSを行っている病院は、ヤンヒー病院、ガモン病院やスポーンクリニック、ミラダ病院など日本で有名な病院が複数あります。また、比較的安価なクリニックも複数出ています。しかし、一方で当事者は自分の受けた病院の体験談を流すことはできますが、2つの病院でSRSを受ける人はいないので比較することはできません。また、SRS後の患部の状態が良いか、外観が良いかなどは2000年頃と違い症例写真がWEB上でオープンにされることが規制されていることもあり、どうしても主観情報しかない状況です。アテンドから見て病院ごとの違いを教えていただけますでしょうか?
アクアビューティー(以下略)病院によっての違いはWEBサイトにまとめてありますので、そちらをご覧ください。
https://aquabeauty.co.jp/hospital/
アクアビューティでは、紹介をする病院を絞っています。その理由はブログ等にも書いてありますが、現在は、トランスジェンダー女性(MTF)のSRSにおいてミラダ病院と深い関係性を築いています。

理江社長とミラダ病院のグリチャーツ先生
ミラダ病院のグリチャーツ先生とは、ヤンヒー病院創業時に筆頭美容外科医師として執刀していた頃からの深く良好な関係があります。今のところ日本からのアテンドはアクアビューティからのみで、正式エージェントとなっているのもアクアビューティのみです。病院と弊社には深い信頼関係があるため、弊社からのお客様はVIP扱いで待遇していただいています。
ーーミラダ病院については過去の記事で答えていただきました。
--他の病院はいかがでしょうか?

ガモン先生と理江社長
もちろん、ガモン病院やヤンヒー病院にも、毎年多くのアテンドを行っております。エージェントとして出入りさせていただいています全ての病院との関係は極めて良好ですので、どの病院でも安心してお任せください。それぞれの特徴によって、最善と思われる病院をご提案いたしております。
ーーアクアビューティのブログ以外にも、日本語で発信されている方も少なくありません。その中には日本の病院を薦めている方もいらっしゃいますが、タイの病院と日本の病院の違いはどう考えればいいでしょうか?
私も色々と拝見するのですが、自分の経験を元に記事を書いているはずなので、どうしても自分が受けた手術の満足感が高いとその病院をおすすめするのは自然の流れかなと思います。
アクアビューティではサイトやブログで情報をまとめているのでそこからご自身の状況を踏まえて検討していただければと思います。
また、ご予約の上で東京か大阪のオフィスにご来社いただけましたら、対面にてより詳しくご説明をさせていただきます。そちらでは症例写真を見ることもできますので、詳しい比較がしやすいかと思います。
ーー アテンド会社の視点だといろいろな事例を見てきて、また現地で実際に見聞きしたことを元に情報を発信できるのでより客観的な視点になりますよね?
そうですね。病院に限らず、MTFの術式だけを見ても反転法、S字結腸法、PPV方式(腹膜法)と多くの選択肢があります。
タイでアテンダーが手術を受けた患者さんから聞いた情報、また病院スタッフからの情報、そして日本では私も含めて日本人スタッフが当事者から聞いた情報の蓄積があるので、ある意味それぞれの病院のドクターよりも、これから手術を受ける方への適切なアドバイスをできる事もあると考えています。
ーー SRSでよく聞くのが、帰国後のトラブルです。受け入れてくれる産婦人科はまだまだ多くありません。適切に対応して、場合によっては全額補償でタイでの再手術が提供できるのも、その経験値によるものでしょうか。日本スタッフの方で自信を持って判断できないと場合によってはトラブルが拡大しますよね。

ミラダ病院の待合室
はい、術後サポートの手厚さはアクアビューティの大きな売りです。
とはいっても、再渡航での処置が必要な事例は、MtFの場合1%未満です。そのほとんどはケア不足による膣や入口の萎縮です。
しかし、トランスジェンダー男性(FTM)のStage-2以降(陰茎形成に関わる一連の手術)で特に陰茎形成後の尿のリークは20%以上あり、これは国内の病院での処置は困難で全て無料保証で執刀医(Dr.スキット)と弊社との長年の信頼関係で適切な処置を行って頂いて全てリカバリーを行ってきました。
陰茎形成に関してはアクアビューティーが業界最多の経験がありますので、手術前からの十分なインフォームドコンセントも含め納得いくまでご相談させて頂いております。
--アテンド目線で見て、逆にトラブルが起きてしまうケース、気を付けるべきことはなんでしょうか?
意外とよくあるのは、SRS後の排尿・排便障害です。尿道の長さや尿道口の位置が変わったことで、精神的に混乱してしまい不安になって発生することが多いようです。
精神的と書いた通り、技術的なものではありません。アクアビューティ紹介の手術で、尿道形成で失敗している事例は聞かないので精神的に落ち着けば解決します。その時に相談に乗れる相手がいるというのは大事な事だなと思っています。
ーー術式によっての違いはありますか?
S字結腸法では便秘になるトラブルを聞きます。適切な術式を選択しないことによるトラブルも耳にします。例えば、反転法で問題無いのに腹膜法を選択するケースです。今のところ、腹膜法の術後はダイレーションが(個人差はありますが)反転法に比べて痛みが激しいみたいです。腹膜法は腹膜の表面の薄い粘膜をはがして膣の表面に移植するのでデリケートです。

理江社長とヤンヒー病院のウォラポン先生
そのことから、膣が収縮しやすく、ダイレーションが他の術式に比べて辛いと感じる可能性が高くなります。辛さから帰国後にダイレーションがいい加減になって、形成した膣が細く、浅くなってしまう。外性器の見た目、深さを確保するために腹膜法を選択したのに逆の結果になってしまったわけですよね。新しい方式なのでその興味だけで選択した結果なのかなと思っていますが、病院によっても違いはありますのでアテンド会社に相談することで避けられたかもしれないですよね。
女性ホルモンを中止して手術が1~2ヶ月後ということで気持ちが高ぶり、ちょっとしたことでも指示に従えなくなるとか、帰国後の生活の不安を強く感じるケースもあります。そのようなケースは病院では対応できず、アテンダーに対して色々話すことで安心感を取り戻す必要があったりします。
乙女塾– 思った以上に精神的なものが大きいのですね。
アクアビューティでは、SRSを決断する前のGIDの相談サポートもサービスとして行っています。(アクアクラブ)
https://aquabeauty.co.jp/club/
本人だけではなくご家族・パートナーさんにとっても最善の選択をして欲しいので、その方に向けた説明も細かく行っていければと思っています。
アクアクラブに入会しなくても、いろいろな相談をお受けしていますが、アクアクラブのようなサポートがあれば手術後の戸籍変更まで、長期にわたって相談をお受けしているのが特徴です。
乙女塾ーー至れり尽くせりですね。ありがとうございました