女性ホルモン治療のシミュレーター「Transfeminine Science」をご紹介

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トランスジェンダー女性にとってホルモン治療に対する期待は大きいです。FFSやSRSといった手術は高額で侵襲性も高く、希望される方全員が受けられるわけではありません。

一方で、ホルモン治療にもリスクはあります。そして、トランスジェンダー女性の多くはそのリスクよりも、1日でも早く女性化を進めたい。より女性らしい身体になりたい。と希望するあまり多くの量をとったり、自己判断で摂取したりといった行動を起こしてしまう場合があります。

その時に見て欲しいWEBサイトがあります。『Transfeminine Science』です。このWEBサイトは海外のトランスジェンダー女性を中心に有志が作成しているサイエンスに基づいたホルモン治療の用量・用法を情報提供しているWEBサイトです。

サイトの作りはシンプルながら日本人にはわかりづらい部分があります。見て欲しいのが、ホルモン治療のシミュレーションができる「Injectable Estradiol Simulator Advanced」です。

こちらで自分の打っている注射の周期、ホルモン注射のタイプを入力すると、体内の女性ホルモン値のシミュレーションができます。(実際の数値にはもちろん個人差はあります)


セッティングの方法です。

Simulator mode: Simpleを選んでください。
Estradiol ester: プロギノンデポーの場合は、Estradiol Valerate in Oilをお選びください。
Dose: mg → 注射用量が1回あたり何mgかを数字で入力してください。今回は5mgとしました。
Repeated?: Yesを入力して下さい。
⤷ Dose interval: Once every days →病院での注射の周期を入力してください。今回は2週間(14日間)としました。
Estradiol concentration units:  →そのままでOKです。
Graph time interval (x-axis max): days →グラフに表示する日数をセッティングしてください。今回は30日としました。

以上をセッティングすると、下記のグラフが出現します。

このWEBサイトを日本に紹介してくれたのは池袋真医師(パーソナルヘルスクリニックなど)のnoteでした。

本人を取材したところ

「注射の場合、ホルモン注射を打った後に急激に女性ホルモン値があがるが、その後急激に下がっていく。女性ホルモンの値が急激に下がると、男性ホルモンの値があがってくる(数年・数十年注射を打っていると、男性ホルモンが上がらない人もいる)。この波によってメンタルの落ち込みが起きる。高容量の注射を打つことで血栓症などの副作用リスクがあがる、と今議論になっている」

と語ってくれました。

池袋先生の患者さんの中にも、女性ホルモン注射を使用している方もいるそうですが、1回5mgの注射を5-7日に1回打つなど間隔を狭めて打っているそうです。そうすると、女性ホルモンの波が少なく、女性ホルモンの基準値が高くいられるとのことでした。45歳以上は、45歳未満よりも血栓のリスクがあがるため、45歳以上には塗り薬や貼り薬によるホルモン治療を推奨しているそうです。

ル・エストロジェルを使ったときのグラフは池袋先生のnoteをご覧ください。3日以降に女性ホルモン(エストロゲン)血中濃度が安定することが記載されています。

https://note.com/singh_ike/n/nd242cee37997

次回は、世界標準のホルモン治療を目指す池袋真先生のインタビューをお届けします。

話を聞いた人

医師

池袋真

パーソナルヘルスクリニック横浜院 院長

産婦人科専門医。GI(性別不合)学会認定医🏳️‍⚧️専門はジェンダー医療。WPATH/EPATH会員。Gender affirming careを勉強後、4つのクリニックにてジェンダー外来開設。【上野/横浜】パーソナルヘルスクリニック【横浜元町】女性医療クリニックLUNA 【大阪天満】いだてんクリニック。

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