RLE(リアルライフテスト)が大切な理由

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    乙女塾

トランスジェンダーが移行先の性別でやっていけるか社会生活を実際に送る「RLE(Real Life Experience)」という治療があります。

日本語に訳すと「実生活経験」です。当事者の間では「リアルライフテスト」と呼ばれることが多いです。

本当に女性として社会で生きてみて、周囲に違和感をあたえないか、社会に溶け込むことができるかを、試して見るのです。

これは、「性同一性障害の診断と治療のガイドライン」に記載されているもので、性同一性障害と診断するための基準、身体的治療(ホルモン治療)へ進むための基準のひとつとして設けられており、診察においては非常に重要視されています。

通常、ガイドライン診断では、ホルモン治療を始める前に、半年から1年かけて行うことになります。

RLE(実生活経験)の概要

本人の望む新しい生活についての必要十分な検討ができていること.すなわち,身体的性別とジェンダー・アイデンティティとの間に不一致が存在しながらも,可能な範囲で今後の新しい生活を試みており,それについて適合感があり持続して安定していること

注:たとえば,本人の望む生活を試みるなかで,周囲の好奇の目に曝されることへの耐性も必要である.さらに職業に関しては,現在の仕事が継続できる条件を整えているか,一旦職を辞して新しい職に就く場合には,具体的な見通しがついていること.学生の場合には学校側と授業や実習に関しての調整がなされて いるか,特に調整を要さない科目のみの履修で済むように科目選択が可能であるかなども考慮すべき点である.
「性同一性障害の診断と治療のガイドラインより」

RLEで確認されることは、なにもパス度だけではありません。社会そのものに溶け込むことができるか多角的に診断されます。例えば、次のようなものです。

– 周囲の理解、カミングアウトの要否
– 仕事・学業の継続可能性
– 女性としての見た目、声、雰囲気、しぐさ、たたずまい
– 困難な場面に対する対応力
– 性別違和感の持続度

特にトランス女性として、様々な場面(公的身分証明を出す必要があるときや、公共の場でのトイレなど)で困難な場面に出くわすことはあるとおもいます。なので、見た目や仕事、周囲の理解と同じように、現実社会との折り合いの取り方というのは、結構大きなチェックポイントです。

乙女塾での授業でいえば、女子トーククラスがそれに近いのかも知れませんね。

RLE(実生活経験)のやり方

RLEのやり方は、極めてシンプルです。社会にでて、できるだけ長い時間、女性として生活できるようになればOKです。たとえばこのような段階ですすめていきます。

– 室内で女性として過ごしてみる
– 屋外に女性として外出してみる
– 平日学校や職場では男性として生活し、週末は女性として過ごしてみる(パートタイム)
– 学校や職場にもカミングアウトして、24時間365日、女性として日常を過ごしていく(フルタイム)

診断にもよりますが、パートタイムになったあたりからホルモン治療に進む人もいるでしょう。そしてフルタイムとしてすごすには、改名やSRSも視野に入れる人もいるとおもいます。みんなこれらを数年という時間をかけてゆっくり、オセロの盤面の色を少しずつ変えるように移行していくのです。

室内でのRLEからはじめて、外出できるようになるまでに1年、そのあとパートタイムの時間が長くて、フルタイムになれるまで4年ぐらいかかる人が多いと思います。だから焦らないでください。

若い人の性別移行は短い人が多く、年齢が高い人の中には、社会的地位もあるので、仕事を定年退職してからフルタイムになるという、すごい長い時間をかける人もいます。

RLEで注意しなければいけないこと

くり返しになりますが、RLE=ビューティー度でも胸や性器の有無ではありません。

あくまでも「社会に溶け込むこと」です。ノーメイクでマニッシュな雰囲気のおばあちゃんが女子トイレに入って怒られないのは、おばあちゃんなりに、パスしてるからです。その理由を考えて見ましょう。

とはいえ、若い女性には、若いなりにメイクやファッションが違和感がないか、女性としてのマナーやお作法があるのは事実です。声の出し方だって、違います。無理に高くしなくても女性として聞こえる声の出し方ってあります。若い子のほうが早く移行するとはいったけど、若い時の方が性差が大きいです。大変なのはむしろ若い人のほうかもしれません。

ガイドライン診断がすべてとはいいませんが、非ガイドラインの人でも必ず通らないといけない道、それがRLEなのです。

まだまだ、パートタイムになるのも怖いという人は、乙女塾や乙女塾の交流会の日だけは勇気だして女の子としてやってきて、みんなのRELを学んで見て、努力しなきゃとか、わたし結構がんばってるかもって、比べてみてもいいかもしれませんね。ただし、マウントするのはダメですよ。みんなそれぞれがんばってるんだから。

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