岸田首相の長男・岸田翔太郎氏が、首相官邸で親族と忘年会を開き記念撮影していた問題で秘書官を辞職されました。
こうした偉い人、もしくはその子供が事件を起こした時に必ずある批判があります。
「32歳には見えない」
「幼く見える(若く見える)」
「仕事をして苦労した顔つきではない」
「男らしくない」
といった言葉です。この事件は許されないことですが、「幼く見える顔=犯罪者」のようなトランスジェンダーと同じようなヘイト、「男は苦労してシワや険が出たほうが良い」というジェンダーバイアスがかかった批判が令和の時代にも毎回起こることは辟易します。
私自身、苦労も人一倍してきましたが、若いころから同じような批判を投げかけられてきました。
「真剣な場面でもいつも笑っている(笑っているつもりはない)」
「男っぽくない」
「苦労が顔にでていない」
「ふざけた顔をしている」
私が良かったのはそうした他人の評価に対して全く気に返さずにむしろ反論し抵抗してきたことです。
何故かというと、メイクという立場から見ると「日本で社会人男性として過ごしてきた人、特に昭和から続く流れに慣れ親しんできた人ほどトランスが大変だからです」
よく眉骨が…とか、目が一重だからとか、顎がとか面長とかパーツパーツを指定してコンプレックスを上げるケースが多いのですが、実際に大事なのは表情だったりします。
そして、社会人男性として従来の規範に従った経験を顔つきに出してしまうと
・眉間にしわがあるばかりかその筋肉が盛り上がっている
・への字口
・笑おうと思っても笑う筋肉が衰えて歯を見せて笑えない
・頬がふっくらしない
・ゴルゴラインのくぼみ
・ほうれい線
などなどの問題が生じます。
つまり、今度は反対に「笑えない」「楽しい顔ができない」「うれしい顔ができない」ことになってしまっているケースが珍しくないんです。
女性はよく笑っています。白い歯を見せて笑うということは素晴らしいメイクに匹敵します。
こうなるとメイクでカバーすることはできますが技術もたくさん必要になりますし、表情をほぐすことから始めなければなりません。
なので、私は思います。男性だって嬉しい時は笑ったっていいじゃないか、楽しかったら感情表現したらいいじゃないか。
高倉健さんのような渋さもいいけど、若く見えたっていいじゃないか。