SNSという空間は、今や多くの方が触れる機会の多い空間となっています。ただその中でも時折、場が荒れてしまうことがあります。その要因として「身体の露出度が高い写真」や「TPOをわきまえないファッションでの自撮り」が挙げられます。こういった内容についてSNSで議論が起きるのです。
そういった写真をアップされる人達のプロフィールを見てみると、MTFやトランスジェンダーと記載されていることも多く、一部のトランスジェンダーの人達からは「一緒にしないでほしい」という声が挙がっています。
彼女達の意見としては、そういった(露出したような)写真を撮るのは「変態女装」「AG(オートガイネフィリア:自己女性化愛好症)」という見解のようです。
しかし、これに反論を唱えたいという当事者がいます。今回は自称AGのAさん(仮名)、女装のBさん(仮名)に話を聞いてみました。
AGのAさん
「AGだから変態写真を撮影してアップすると考えるのはやめてほしいです。AGといっても脳内で満足している人もいれば、SRSをして埋没している人もいるんです。わざわざ写真を上げるのは少数派でしょう。
トランスジェンダーの人だって、お店に務めている人なんかは普通に胸とかを露出したエッチな写真をアップされてるじゃないですか。それと一緒です。
元々はビジネスで「元・男の子」とか「男の娘」を売りにしている人たちが写真をアップすることが多かったと思うんです。ただ今では性的マイノリティとかに限らず、一般の人までそうやって人気商売をしていますよね。個人で写真を売ることだって出来ますし、Amazonの欲しいものリストを公開してプレゼントをもらっている人たちもいます。
そんな人達の中にいると「自分がやりたいことは普通なんだ」と勘違いしやすい土壌があると思います。その結果、極端に露出した写真をアップしてしまう……でも、あれはAGではありません。ただの変態です。トランスジェンダーがマウントをとる手段や、自分たちにとっての恥部の言い訳にAGという単語を使われるのは、たまったものではありません。
まるで、クオリティーが低くて露出癖があるものをAGと表現されているようで気分が悪いです。繰り返しになってしまいますが、AGだからといって露出した写真をアップしているのは少数派だと思います」
女装のBさん
「そもそも何故自撮りをあげるのかというとイイネがもらえるからなんです。男性の状態では考えられない数のイイネがもらえて、注目されてフォロワー数も増えていく。フォロワー数って、ある種の戦闘力みたいですよね。
有名な方はこういった業界での扱われ方が変わります、地位が上がるというか。イベントのスタッフが出来たり、女装バー・ニューハーフバーなどの水商売のお店からスカウトされたりすることがあります。自撮りって、女装子の成功ストーリーなんです。
でもそれって可愛い子に限った話ではなくて、顔だけじゃなくて、足やスタイル、誰にでも何かしらの武器があるはずです。セクシーなアカウントは1万人にフォローしてもらうのも一瞬なのです。しかも、海外からの需要が多くて、英語からアラブ語まで応援メッセージが来たります。そういう応援って原動力になりますよ、やっぱり。
そして、女装さんであるならばプロフィール欄にわざわざトランスジェンダーやMtFとは書かないと思いますよ。それよりも女装さん、男の娘のほうが人気があってイイネがもらいやすいんです。(性移行に)“本気”でおっぱいがあって整形もして……という内容だとレベルが高くて当然と思われちゃう。それに、男の残り香がないとダメというファンも多いんです。
夜の店で働かれてるプロのニューハーフさんや、イイネが欲しいトランスジェンダーさんは「女装」「男の娘」「トランスジェンダー」「ニューハーフ」みたいに関連タグ全部入りみたいになっている人もいますよね。でも、トランスジェンダーさんが女装を装うことはあっても、その逆は利益がないんです。だから、トランスジェンダーって名乗っているのならば、そもそも女装とは違うものだと思います」
2人とも少々お怒りの様子でした。近しい隣人ほど喧嘩をしやすいともいいますが、AGや女装の人たちへのマウンティングはしないように気を付けたいですね。