MIQ優勝ジェニファーとCEOアリサに聞くトランスとMIQ

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    Akira Tokyo

2018年Miss International Queen(MIQ)優勝のジェニファー(Nguyen Huong Giang、ベトナム出身)と、MIQを主催するティファニー・クラブのCEOであるアリサ(タイ出身)をご存じだろうか。

2019年のMIQ日本大会で審査員を務めた彼女たちに日本の印象、そしてトランスジェンダーについて話を聞いた。

ーー日本についてどう思いますか?

ジェニファー とても良い文化があると思います。例えば、私は着物が好きです。着物にはその裏にストーリーがあります。独特で他の国にはないものです。

アリサ 私は日本が好きです。日本人は互いに尊敬しあっていて、またとても親切です。タイは親日なんですよ。過去に大阪や北海道のニセコ、京都…もちろん東京にも来ています。


ーー日本のKAWAIIカルチャーについてどう思いますか?

ジェニファー ポップでキュートなカルチャーだと思います。とても興味深いです。日本人は自然体で「かわいい」をやっていますよね。ガーリーでキュート、日本人は顔つき的にも「かわいい」を体現しやすいと思います。

アリサ 日本以外のどこでも探せないもの。チャーミング・ビューティは誰でも受け入れられるものだと思います。

ーー日本はMIQでおよそ10年間優勝から遠ざかっています。日本のトランスジェンダーには何か足りないものがあるのでしょうか?

ジェニファー 日本は2009年にはるな愛さんが優勝していますね。1度優勝していれば素晴らしいと思います。ベトナムもチャンピオンは私一人です。いろんな個性のある方が集まる大会ですし、今後どうなるかはわかりませんよ。

アリサ 準備だと思います。過去の優勝者はたくさんの準備を重ねて大会に挑んでいます。日本人は個性が強くタレント力のある人が多いと思います。しかし、身体はもっとフェミニンに見えるように(努力)したほうがよいです。例えば、日本大会で準優勝した白川さんのベリーダンスはとてもフェミニンでしたね。

アリサさんも絶賛した白川さんのベリーダンス

世界大会ではより一層見せ方が大事になってきます。日本人らしさを世界へ向けて出していく必要があります。それは外見(が例えば着物であるとか)だけではありません。日本人らしい反応や内面であったり、それらが伝われば観客は沸きます。

ーースペインのトランスジェンダーがミスユニバースの代表となりました。それについてどのようにお考えですか?

ジェニファー トランスジェンダーにとってとても良いニュースだと思います。美に焦点をあてた大会でこのような結果になったことはLGBTカルチャーに良い側面があります。次からはより多くのトランスジェンダーが出場するのではないでしょうか?あいにく私は有名すぎてベトナムの大会には出られないんですが(笑)。

アリサ MIQの大会運営陣がLGBTの活動を行い改革を起こしてきた結果だと思っています。LGBTの人たちにも平等に機会を与えられることが証明されました。

ーーあなたにとってMIQとは何ですか?

ジェニファー トランスジェンダーにとって平等なチャンスだと思います。大会を通して世界に自分自身を発信することもできます。

アリサ 自己表現の機会を提供する場だと思っています。自分を表現することで平等に人権を獲得する場所だと。

ーーMIQのレベルが毎年さらに高くなってきているように思えます。

ジェニファー 毎年、優勝者がその後芸能界などで成功しているので、それを見て(自分もチャンスをつかもうと)出場するために毎年レベルが高くなっています。私がどのくらい練習したかは言えませんが、私は6年間芸能活動をしてきて培ってきたものがあります。ポージングやしぐさなどは自然とできるようになっています。

アリサ 今回の日本大会でいえば、出場者は赤い無地の水着など審査ごとに縛りがありました。もしかしたら私服で良いのかもしれませんが、同じ装いで審査することで違いがわかりやすくなります。また、容姿だけでなく過去の経歴、職歴、受賞歴などを参考にしています。例えば、ミスxxの人がMIQで賞を受賞すれば、その後輩が出やすくなるといったことがあります。そう言ったことがよりレベルの高い大会を生んできた背景だと思います。

ーー日本ではまだトランスジェンダーであることを打ち明けられなかったり、トランス中の方が多いです。彼女たちにアドバイスを送って頂けますか?

ジェニファー 日本だけでなくベトナムでも同じでまだまだトランスについては進んでいるとはいいがたいです。ホルモン治療をまずは初めて欲しいです。(日本では途中でやめてしまったり、効果がでないという方もいらっしゃるそうですが)まずは定期的に2週間に一度でも1か月に一度でも続けてください。SRSをするにも8か月はホルモンを打たなければなりません。しかし、そうすれば、必ずあなたは変わります。タイのような進んだ国を使うことも大切ですね。

ーー親交のあるさつきは私たちとともに「乙女塾」というスクールを開いています。感想をお聞かせください。

アリサ それは、素晴らしいことです。みんなにとって希望となるでしょう。私が経営しているティファニー劇場でも同じようなことをしています。「よりフェミニンに見えるにはどうしたらいいのか」というレッスンがあるんです。そうやって女性らしさを獲得しなければ、ショーはもちろんですが社会に受け入れられないからです。

私は生まれながらの女性ですが、トランスジェンダーの方々がSRSをしなくても生き方に影響を及ぼさないとかどうしても気になるというのでないならば手術をしなくてよいのではないかと考えています。本当に必要だと思ったら治療について勉強を進めてください。審査員のカルーセルさんはモロッコで手術をしたとおっしゃられてましたが、タイには執刀例が多数ある先生がたくさんいます。目安として1000回以上SRSをした先生を選ぶようにして下さい。例えば、ガモン(KAMOL)先生は経験があります。

完全に他の性に変えることはとても大変です。でも、男性と女性の2足の草鞋をはくとか、トランス中もとても難しいことです。

ーー今日はとても素敵なドレスですが、普段はどのようなファッションを好むのでしょうか?

ジェニファー このドレスはベトナムのデザイナーによるものです。実は、普段はTシャツにデニムのパンツが多いです。たまにアオザイを着ることもありますよ。

ーートランスする上で最も大事なことはなんでしょうか?

ジェニファー “メンタル(マインド)”だと思います。トランス中はホルモンの影響や外的な要因で決して心理状況が良くないことがあります。そうして日常的に怒ったり、気持ちが落ち込んだりしたとき、メンタルの強さがあるかどうかは大事になります。あとは誰にでも平等な心を持つことです。

ーーありがとうございました。

(聞き手:なお(@ona_co)、撮影:あきら TOKYO(@akira_tokyo))

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