トルコの植毛ってどうなの?ヨコ美クリニックに直撃してみた。

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性別移行を始めたトランスジェンダーの悩みの1つにAGAがあります。

特に20代以降から始めたMtFトランスジェンダーの場合、そもそも生え際に男女差があることに加えてAGAが進行した場合、女性として見える割合に苦労してヘアピースやウィッグを付けることも少なくありません。

また、FtMトランスジェンダーの場合、男性ホルモンの影響でAGAになってしまい「男性に見えるようになったはいいが髪の毛が薄くはなりたくなかった」という方もいらっしゃいます。

どうしても自分の髪の毛で勝負したい場合、究極の選択肢が植毛の外科手術です。しかし、日本で植毛手術は何百万という見積りが出る場合も少なくありません。

そこで、現在注目を浴びているのがトルコです。芸能人やインフルエンサーが相次いでトルコ入りして植毛手術を受けているからです。ずばり「トルコの植毛」はどうなのでしょうか?素直な疑問を私の主治医でもあるヨコ美クリニックの今川院長にぶつけてみました。

(取材日:2023年7月6日 聞き手:NAO)

(乙女塾編集部、以下略)ーー現在、トルコで植毛を受けるインフルエンサーが多く話題となっています。安いとは思うのですが技術はどうなのでしょうか?

(今川院長、以下略)トルコの植毛は国際毛髪外科学会で問題視されアラートが出されています。学会の注意喚起では“ブラックマーケット”、つまり闇の市場です。実際の結果をこの目で見たり海外の植毛医からいろいろな情報を得てタイの医師と見に行ったのですがとても驚きました。

医師でも看護師でもなく資格のない一般の人が植毛手術をしているのです。

大きな整体屋さんみたいに1つの部屋にたくさんのベッドが並んでいてそこにたくさんの患者が並べられていて植毛手術を受けている写真も衝撃的です。

他にもインド、パキスタンなど複数の国で植毛手術の闇市場はありますが、とりわけトルコが問題視されています。

ーー前提条件としてユーザーの皆様にも知ってほしいのは、日本やアメリカのような先進国以外でも特定の医療が発達することがあります。身長を伸ばすのはアルメニア、脂肪吸引はコロンビア、そしてSRS(性別適合手術)はタイといったように日本から見て第三国だからといって医療の質が悪いわけではなく、日本よりも安価もしくは日本ではできないような高品質の技術を提供してくれるケースは少なくありません。しかし、トルコの植毛はそうではないと。では、トルコの植毛手術の問題点は何でしょうか?

(今川院長)私の親友盟友で英文医学書の共著をしている医師もアメリカ国籍のタイ人です。でも、彼によるとそのタイ人でもタイで手術を受けずに安いといってトルコへ行ってしまうそうです。

トルコではつい最近に術後の感染によって死亡例も耳にしてが報告されています。植毛の手術で死亡するとはちょっと(通常)考えられないのですが…。

問題点としては、そうした衛生面や医療行為なのに一般人がやっている以外にも手術自体にも定着率の問題があります。

FUEといってパンチで髪の毛をとってそれを前の方にもっていくのですが、過剰に採ってとり過ぎてしまったり、傷になってしまったり…。

芸能人が行くことでトルコのPRになってしまい安いからと飛びつく人がいます。しかし、トルコで植毛手術を受けたがほとんど全く生えてこなかったとか傷が残ったとかで修正依頼が私たちの下にたくさん来るんです。

(webでは見せることができませんが)、カウンセリングの際には実際の症例や問題視されているケースの写真を見て欲しいです。

ーーでは、患者はどうやって医師を選べばよいのでしょうか?例えば、Instagramやtwitterを見て良い症例を選ぶ、相性のよさそうな先生を見つけるぐらいしか防衛策がないように思えます。

SNSで良い症例を見て行くのにも善し悪しあしでがあります。私たちは、広告規制に従って(学会に基づき)実際の症例を掲載しておりませんが、仮に掲載するならとっておきに良くできたものを掲載するはずですしたいと考えます。

「チャンピオンケース」といって、出来栄えの平均値ではないことに注意が必要です。

ーー自画自賛するわけではないですが、私は病院選びは足で稼ぐスタイルしかないと思っていて、そのやり方でうまく先生を引き当てられたと思っています。ヨコ美クリニックからお金も何ももらっていないのに勝手に宣伝しますが、「安い」、「うまい」、「たくさん植えてくれる」。逆に最後はサービスでとらないでといったぐらいですからね(笑)。

私たちのように手で植える際には1株に1本しか生えていない一本毛を前列にもってきて3本毛を後ろにもってくるなど生え際からだんだん濃くなっていく様子を疑似的に再現したりできます。

ーー最初の手術の際に乙女塾のページ用に写真をとってもらったいたと思うのですがそれを見て驚きました。顕微鏡で1株1株とった髪を振り分けしているような写真でした。田植えのさらに上というか気の遠くなる作業をチームがやっていて…。

マシンだと自動採取、自動植毛なのでそうした振り分けはできません。ですから日本のクリニックならよいわけではなく、マシンやロボットの植毛はおススメしません。実際にロボットを使ったクリニックは国内は全てなくなったと思いますが、それはうまくいかなかったからでしょう。

効果がないことが患者にばれると、名前を変え逃げ続けたクリニックもあります。患者が電話をかけるともうクリニックは閉院したというのに、違う人がかけると違う病院名で手術希望日を聞かれるのです。

ーー美容医療って新しい治療が出るとつい試したくなる気持ちがどうしてもあります。今までできなかったことができるんじゃないか、魔法のように直るんじゃないかという患者さんの期待ですね。でも、経験をしていくと何十年も続いている古いやり方の方が良い手術ってたくさんあると思っています。

例えば、マシンでは一列に植えられてとても不自然ることは得意なのですが、頭は3Dなので端のほうが難しかったりします。

問題なのはマシンやロボットが悪いわけではありません。高い技術がある医師が補助として使うのならば問題はないのです。

新しい機械が出た、それを使えば「だれでも植毛ができる」と安易に未経験の医師がビジネスに結びつけてしまうことが問題なのです。

病院の中には経営母体が医師ではなくそうしたビジネスとして考えているグループもあります。

ーー髪って有限じゃないですか。やってダメなら2回目・3回目に行こうにも限界があります。ですから、それこそ医師選びが大事ですよね。トルコの症例での修正依頼を見る限り「自分がそうなっていたら…」と思うと、ぞっとしました。

話を聞いた人

医師

今川 賢一郎

横美会 院長 兼 理事長

慶應義塾大学医学部卒。1985年より世界トップレベルの毛髪治療専門クリニックである横美会院長兼理事長を務める。今川院長は多くの書籍・医学論文を執筆、アメリカ毛髪外科専門医制度 ABHRSに 日本人で初めて認定された。

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